胃のシャットダウン

我が家の旅のスタイルは現地の美味しいものを食べるというものなので、ほぼ必ず食べ過ぎになる。最悪なのは旅の途中に胃腸が音を上げてまともに食べられなくなることで、そういう時は残念ながら胃腸の回復を待つしかない。そもそも食べるために旅行しているのに絶食に近い日々を過ごすのは辛いものだ。

ようやく最近になって兆候を見逃さずに胃腸を労ることを覚えた。その兆候とはバリウムを飲んだ後のように胃がずっしり重く感じる、いわゆる胃もたれの状態なのだけど、日常生活では比較的少食なのでそんなことを経験することはまずない。

しかし先日突如あのバリウム状態を経験したのだ。状況を説明しよう。

Gianyar夜市の屋台でNasi Lawar Bebekを食べ始めてすぐ、口の中に汚水のような匂いを感じてむむっ、これは大丈夫か?と食中毒センサーが稼働した。見たところ肉に火は通っているが、鴨なので肉に臭みが残っていることは考えられる。「この鴨ちょっと臭みがあるね」と言って食べ進めようとするが、胃にずーんと重りが入ったようになって「これ以上食べてはいけないあの状態」になったのだ。 不審に思いつつ食べ進めていたら臭いのは肉ではなく上に載っているタマネギなどの生サンバルだということがわかった。こいつを除去したら問題なく美味しい。しかし頭では「これは問題ない。おいしい。」と思っていても胃は既に受け付けなくなっている。

考えるに、これは味覚から危険を察知した脳が胃に対してシャットダウンの司令を出し、その後に改めて味覚からのオーライの報告があっても胃のリスタートには時間がかかるということではないか。ついさっきまで空腹だったしまだ食べる前だったから胃は元気なはずなのに、脳の司令一つで臓器の働きがコントロールできてしまうというのは新鮮な驚きだった。

翌日は平気だったけど、二日後にはまた胃がもたれたのでやっぱりちょっと疲れが溜まったみたい。