バリアガ（Bali Aga）の村の一つであるテンガナン村（Tenganan）を訪れた。場所は、バリ島の東海岸 Candi Dasa から山間に入ったところだ。

バリアガというのは、昔ながらのバリの社会の営み、文化、習慣を守っているヒンドゥー教徒の人たちのことを指すらしい。「昔ながら」という部分がポイントで、バリにヒンドゥーがやってきたのは4世紀頃であるものの、現在のバリの大体数のヒンドゥー教徒は、16世紀にジャワのヒンドゥー王国マジャパイトがイスラム勢力に滅ぼされたときに、逃げてきたた人たち（僧侶や工芸士）によってジャワ化された習慣で暮らしている。つまり、日頃は「ジャワ化さバリ人」を目にしていて、「バリアガ」大多数のバリ人とは、同じヒンドゥーでありながらもかなり異なる文化を持った人たちだとということらしい。その話を聞いていたので、どう違うのか興味津々だった。なにせ、千年以上違う土地で育った文化なのだから。基本の教義や神様は同じで、祭礼の方法、寺院の建て方などが違うと言われている。

バリアガは355日周期の太陰暦であるサカ暦を使用している（一般的なバリ人はサカ暦に加えて、210日周期のウク暦も使う）。バリアガの村でよく知られているは、今回訪れたトゥガナン村と、風葬を行うトルニャン村だそうだが、その他にもいくつかあるようだ。

トゥガナン村は「城壁」と言うほど堅固なものではないが、壁と堀で囲まれている。入口付近に切符売場っぽい建物があるので近づくと誰もいない。入場料は、寄付制になっていて自分が思う金額を箱に入れて、横のノートに記載する仕組みになっている。見学できるのは、8時から17時。

中に入ると高床式の建物が村の中央に並んでいる。高床式の建物自体バリでは見慣れていないので不思議な世界だ。その中にいる村人は、明らかに服装が違う。サロンを巻いていると表現してしまえば同じだが、スタイルが違うのだ。その高床式の建物は、共同で利用するスペースで村の中央にどんと構えている。道を挟んだ左右に、村人の住まいが並んでいる。独特の方位学に基づいてレイアウトされているらしい。そして、、土地は共同所有というシステムになっているのだとか。コミュニティ内の結婚が原則で、外の人と結婚した場合は、村の敷地の外に住まなければならないとか。狭い世界で生きていくのは、厳しそうだ。

この村は、東南アジアで唯一ダブルイカットを織っているのでも有名だ。イカットを商売にしている家が多く、入口付近がお店になっている。イカットは高くて手が出ないので買わないからと、店の中には入らなかった。でも、店を覗くと家の中の様子も目にすることができたのになと、あとからちょっと後悔。小さな中庭があるつくりになっているらしい。アタ製品も有名で、お土産用にいろいろと並べてあった。

村の入口近くに、イベントの写真が展示してあるので、暮らしや祭りの様子を知るには便利だ。ただし、写真だけで説明がない。

訪問した日は、なにか村のイベントがあるようで、寺に人が集まったり、集会場付近で忙しくしていたりする。煙を上げて宴会料理を用意していた。

お寺の近くにあったお供えに鳥も捧げられていて、このパターンは見たことない。そして、その寺自体も、何もないのだ。村の壁の外にあって、かつシンプル。寺に関する考え方も違うのだろう。

この村には、珍しい鉄製ガムラン Gong Selonding というのがあり、ちょうど村外れの寺で演奏しているのを耳にすることができた。これも、イベントの一環だと思われる。バリ島トゥンガナン村ガムラン・スロンディンの神聖によると、この Selonding は神聖なもので、村人の中でも触れることのできる人とできない人がいるとか。村人の中でも神聖農民と鍛冶屋の2種類に分けられるらしいが、そのあたりの詳細をもっと知りたいと。

棘のある葉を使って戦う Mekare Kare とかあるそうだし、確かに大多数のバリ人とは違う生き方をしているようだ。全く気が付かなかったのだが、民家が切れたところに公共の浴場もあったようだ。

よくわからないことも多いが面白かったので、ぜひ他のバリアガの村も訪ねてみたい。