評価:3/5点
アストリアにはチェコのビールが飲める店が2軒もある、ということでだいぶ前からlulunのレーダーにキャッチされていたBohemian Hall & Beer Garden。なぜギリシャ人エリアにチェコビール、という謎はあるが、薄暮の中をアストリアに向かった。
Bohemian Hall & Beer Garden。だいぶ暗くなってからなのでほとんど写っていないがそこは愛嬌。
場所はアストリアでもだいぶ北の方、地下鉄の駅周辺だけはそこそこ繁華だが基本的には静かな住宅街、という中にある。高い塀の中はビアガーデンで、ジャズバンドが演奏しているのが聞こえる。店の入り口でガードが持ち物チェック。Brooklyn Bagelでベーグルを買った後だったので、「それは何だ」「ベーグル」「なに?」「だからベーグル」「なんだそれ?」「パンだよ」「食べるのか?」「食べないよ」というやりとりがあってようやく店内へ。外のビアガーデンはけっこう広くて気持ち良さそう。客もけっこういる。飲むには寒いので店内の席に座ることにして、半地下になっているテーブル席があるエリアに降りて行くとがらんとして誰もいない。あんまりなのでバーの方を観察できる入り口脇のテーブルに腰を下ろす。
庭ではジャズのライブバーに並んでいるタップを見に行き、チェコのダークエールがいいんだけど、と訊くといくつか示してくれるが、そこらのスーパーで買って飲んだことある銘柄が多い。そこで見慣れないBrouCzechと、去年Bear Mountainのオクトーバーフェスト で飲んだSpatenのOctoberfestを指名。
Spaten Octoberfest(左)とBrouCzech(右)
BrouCzechは甘みがあって喉越しにわずかに苦みを感じる。うまい。Spatenの方はちょっと色が薄くて味の方も見た目相応。これもけっこういける。これでひとまずわざわざ出かけてきたかいがあった。なぜこういう店で飲むビールはうまいのだろう。いろいろな要因が組み合わさっているのだろう。
食べ物は鴨のローストにパンのダンプリングとポテトパンケーキを選択。出てきたものは写真の通り。
鴨はなんと半羽。でかいのなんの。鴨の臭みが苦手なlulunだが、あまり気にならないようでぱくぱく食べる。むしろkameの方がちょっと臭みに気勢をそがれてペースが鈍りがち。奥の方はちょっと臭いけど表面に近い方は大丈夫だという。そんなもんか。脂が多いので紫キャベツの漬け物がバランスをとってくれている。
ポテトパンケーキもこれまたでかい。ちょっとタマネギの比率が高すぎるのが難点だが、表面がカリカリで香ばしい。サワークリームとアップルソースが添えてある。
ダンプリングのはずだが、蒸しパンというか中華饅頭という感じ。茹でているとは思えないぞ。味はたいしたことない。ちょっと失望。
料理は選択が悪かったのかもしれないが今ひとつ。だけどビールは出かけて行く価値がある。日曜日の午後にはブルースの生演奏があるらしいので、暖かい日に外でゆっくり飲むのも良い。そうだ、今度はソーセージを食べてやろう。
帰ってから調べたらここは本当に今でも在ニューヨークボヘミア人協会で、チェコかスロバキア系の人たちが運営しているそうな。子供向けの日曜学校みたいのもやってるらしい。その文化会館の中心がビールというのもさすが。
やはりアストリアのこの地域はオーストリア・ハンガリー帝国の抑圧から逃れてきたボヘミア人たちが移り住んだエリアで、この建物も自分たちで手作りで建てたそうだ。完成直後に禁酒法が施行され、NYのビアガーデンはここを除いて壊滅したらしい。きっとここはほかの文化事業をしながら生き延びたのだろう。そりゃプラハのU Flekuなどと比較したらかわいいもんだが、そんは歴史に思いを馳せながらあの薄暗いバーでビールを飲むのもなかなか好ましいものだ。
大きい地図