メキシコと言えばタコスに代表されるトウモロコシ粉を主体とした食べ物が主流だが、こいつらはおにぎりのようなもので襟元を正してレストランで食するようなものでは本来ない。路上の屋台で買って食べるのが正しい姿だ。メキシコのストリートフードは種類も豊富だし、ちょっと人が集まるところには必ず屋台も集まっている。
Alameda Central北側の教会前のtlacoyos屋
メキシコで最初の食事はAlameda Central前でTlacoyosとなった。なんとしても一度食べてみたかったものなのでこれは嬉しい。事前情報ではAlameda北側の切手博物館(そんなものがあるらしい)前の屋台が良いとあったので、ここにtlacoyos屋が集まっているのかと思ったらさにあらず。ガラクタ市のようなものは出ているが食べ物の屋台は数えるほど。一周りしてtlacoyosが見当たらなかったのでがっかりしたが、諦めかけて後戻りすると目に入った。お、これだ、と小さな椅子に腰掛ける。
念願のブルーコーンと初対面。草餅に似た色だな、と思ったら、焼く前は本当に話に聞いた通り緑青色だ。どうしても金属化合物を思い出す。
こんな所に明らかに外国人のlulunとkameが来るのは珍しいようで、店をやっている夫婦はちょっと嬉しそうに緊張している。他の客がカタコトの英語で説明してくれる。Tlacoyosは楕円形の厚めのトルティージャで、中に具がサンドイッチされている。ここではチーズ入りと豆入りがあったので一つずつ注文。トッピングはサボテンとチーズ。サルサは赤と緑の二種類。
期待通りうまい。うまく説明できないがブルーコーンの味わいは黄色や白のコーンにはない味わいがある。ぬるっとしたサボテンには控えめな風味と独特の歯ざわりがあってこれも面白い。すごくうまいというほど特徴のあるものではないが、こういう使い方はなかなか適しているようだ。チーズもちゃんとしたオアハカ風の正しいもので、淡い味わいでニューヨークで出てくるものとは全く別物だ。これをクラフトのパルメザンチーズで代用してしまってはいかんだろう。国外では手に入らないのだろうか。
飲み物は店主がそのへんまで買いに行ってくれたタマリンドのJarritos。ほのかに甘酸っぱくて爽やかな味わい。
ほかの客はケサディージャを作ってもらったりもしている。まあ粉を丸めて伸ばして焼くものならだいたいできるのか、と思いつつ、ひとまず空腹が落ち着いたのでほかの屋台を物色することにする。
Alameda Centralの人ごみの中を歩きながら気になる食べ物をチェック。この時はこんなもんだと思っていたのだが、不景気のせいで元々店を構えていた人たちがコストのかからない屋台に切り替わったりしているらしい。
トウモロコシも食べてみたいものだったので、なにやら鉄板で唐辛子とハーブと一緒に蒸し焼きにしているものを買おうとすると、もうしばらくかかると言われる。このタイプのトウモロコシはほかの店では見ないので時間を潰してから戻ってきた。
手渡されたのがこれ。
味はわりと薄いのだがしっかりとした歯ごたえがあってよろしい。ライムと唐辛子がたっぷり入っていて辛くて酸っぱい。というか強力に辛い。地味な食べ物だがこれはこれでなかなかよろしい。
次はけっこう繁盛しているタコス屋台へ。頼んだのはchicharron入りのブルーコーンケサディージャ。
チチャロンは豚の皮を揚げたものだが、こいつを水で戻して辛く炒めてある。ぱりぱりしたものを想像していたのでこれはちょっと意外。食べ方としてはビールとともに乾いたやつとサルサというのが正しいかな。
飲み物もlicuado(ミルクセーキ)、agua fresca(果物の煮汁)など色々試してみたいものがあった。まずは米でできているらしいhorchataというやつ。見た目は白いだけでよくわからないが、韓国の米ドリンクに似た感じがある。ミロからチョコレートを抜いたようなところは同じだが、こちらはちょっと薬っぽい風味がある。これは一回でいいな。
市場をふらふらしていると甘そうなお菓子が並んでいる。
lulunが寝込んでしまったのでkameの食事も何となくお付き合いで持ち帰りできるもの主体に。
これはChurreria El Moroの隣でやっている店で買ったサンドイッチ。モレの良し悪しがストレートに味に出る。可もなく不可もない。
パンを赤いソースに漬け、焼いてジャガイモと肉のペースト、緑のサルサ、レタス、マヨネーズを挟んだサンドイッチ
こちらは朝の屋台で見かけて気になっていた胃にもたれそうなサンドイッチ。kameはマヨラーではない。もういいや。
Gorditasはコロッケそっくり。ジャガイモではなくてトウモロコシの粉を使っているのだろうが、その点を別とすればまさにコロッケ。具を入れて揚げた後、切り込みを入れてタマネギと赤いサルサをちょっと塗る。お惣菜屋みたいなところで買ったが、一度作りたてを食べてみたい。
タマレスは時折鉄板で焼いたものも見かける。元来はわりと淡白なものだが、油を吸ってボリュームアップしていそうだ。赤いやつは甘いお菓子系のタマレスだそうだ。次回食べてやろう。
市場でも屋台でもagua frescaの入った大きな瓶が目に付く。色もきれいだしおいしそう。
歩いていてふと目に留まった煎餅そっくりなもの。よく見るとテクスチャーが少し違う。これもきっとトウモロコシ粉なのだろう。
そしてそのすぐ脇の果物屋。
リンゴを唐辛子で真っ赤にしてライムをかけて食べるとはさすがメキシコ。目の前で高校生ぐらいの男の子たちが買って行った。日本と同じような焼き芋屋がいたので近寄ってみるとサツマイモはもちろんだが焼きバナナも売っている。味は確かにバナナだが、ホクホクして香ばしいところは焼き芋そのもの。
そのバナナはもちろん各種が売られているが、市場で少しだけ買ってみたのがこのミニバナナ。水分が多いのか食べ慣れているバナナのもそっとした感じがなく、口の中になんとメロンの香りが広がる。これにはびっくり。産地で食べるバナナは熟れてから収穫するからうまいのだという話は聞いたが、これは驚きだ。うまい。
ほかにも色々気になるものがあったが、とても食べきれないのであとは次回。また行かねば。