評価:3/5点
炭焼きステーキといえばアルゼンチン。でなければウルグアイ。奴らはとにかく肉をよく食べるし、その焼き方に対するこだわりも半端じゃないらしい。
La Fusta
La Fusta
アメリカに来てうまい牛肉というものがどういうものか分かってきたので、いずれは本場アルゼンチンの肉を食べてやろうと思っていた。最近開拓にハマっているElmhurstの次なる標的をYelpで物色中、La Fustaという店があることがわかった。このあたりはアジアだと思っていたが、そういえばJackson Heightsのインド人街のちょと先はラティーノの街だったっけ。
La FustaはJackson HeightsとElmhurstの駅のちょうど中間ほど、病院の正面にある。そのためか店に入ろうとした時、入口付近はテイクアウトの客が何人もいてテーブルに案内してくれる店員がいない。店内はけっこう広いので席はけっこう空いているが、それなりに客は入っているようだ。
La Fustaという店名は乗馬用の鞭のことらしい
La Fustaという店名は乗馬用の鞭のことらしい
店内は暖かく落ち着いた雰囲気で、オーナーは馬が好きなのか古い競馬の写真などが飾ってある。鞭もたくさん壁にかけてあると思ったら、La Fustaというのは乗馬用の鞭のことらしい。店主はガウチョかな。
予習したところではスカートステーキ(ハラミ)がおいしいらしい。いずれにしても牛肉の焼き物を食べようと決めていたので、そのスカートステーキのハーフと、アルゼンチン風ミックスグリルを注文。ミックスグリルにはアメリカ風というのもあったので違いを尋ねると、要するに臓物系を除外したのがアメリカンということらしい。kameは内臓はあまり得意ではないが、糸桜みたいに鮮度の良いモツなら大丈夫なのでアルゼンチン風で行くことにした。肉で勝負する店だから内臓ものも良いはずだと踏んだのだ。
飲み物はサングリア。当然赤ワインだよな、と思っていたのだが、周囲のテーブルがみんなサングリアなのでそんなもんか、と方針を転換。スパイス控えめでフレッシュな感じのするサングリアだ。柑橘系が効いている。
La Fustaのサングリア
サングリア
テーブルにはパン、それからニンニクとパセリがどっさり入ったオイルが置いてある。Chimichuriというらしい。こいつがものすごく強烈で、パンにちょっと付けただけでニンニクをまるかじりしたようなインパクトがある。Yelpの書き込みにあったが、これを食べたら誰にもキスするな、というのは理解できる。パンは見た目は正直マズそうだがそれほどでもない。
La FustaのChimichurri
Chimichurri
そうして登場した肉。香ばしく焼けていてうまそうだ。スカートステーキは細長くて厚みも結構あるので、けっこうな量がある。焼きをミディアム・レアにしたこともあって、ジューシーでかつ香ばしくて肉の味も良い。ステーキとしてはそりゃDeStefano'sのRibeyeの方が上だが、値段を考えたら優秀だ。
La Fustaのスカートステーキ(ハーフ)
スカートステーキ(ハーフ)
一方のミックスグリルはどう見ても一人分には見えない量だ。隣のテーブルに置いてあるのを見たときは、多分二人前なのだろうと推測していたのだが、実は一人分だった模様。内容はハラミ、ショートリブ、ポークソーセージ、黒ソーセージ、丸腸、胸腺。一番気になっていたのは店員がTripeと言っていた部位だが、これは予想していたセンマイではなく丸腸に違いない。ぐるぐるとねじってあるように見えるのは切れ込みを入れてあるのか、それとも長いまま焼くとこうなるののだろうか。ちょっと固めだが脂がたっぷりで味も良い。心配した臭みもほとんどない。あと店員がSweetbreadと言っていたのはまず間違いなく胸腺。柔らかいしうまい。lulunはこいつが一番気に入ったようだ。
La Fustaのミックスグリル(スカートステーキ、ショートリブ、ポークソーセージ、黒ソーセージ、丸腸、胸腺)
ミックスグリル
ハラミは単品とは違うものに見えるが、単にカットの仕方が違うのだろうか。平たくて薄い形状だ。ショートリブはかなりゴツい。いずれも味は期待を裏切らない。
黒いソーセージは血が入っているのだが、ナイフを入れるとけっこう柔らかくて中身がとろりと出てくる。レバーのペーストも入っているのか、非常にコクがある。多くは食べられないがこれはこれで悪くない。白っぽいポークソーセージの方はわりと普通。
La Fustaのミックスグリル(スカートステーキ、ショートリブ、ポークソーセージ、黒ソーセージ、丸腸、胸腺)
ミックスグリル(反対側から撮影)
肉にはいずれもマッシュポテトかフライトポテトが付属する。一つずつ頼んだが、半分も食べられない。残念ながらこちらは水準が低いので肉を食べたほうがいい、ということになるのはやむを得ない。それでさえ肉を完食するのは最初から諦め、内臓系は片付けるが肉は持ち帰ればいいや、ということにした。このへんはアメリカは気楽でいい。それにシンプルで上質なステーキがあったらタイ料理にしてヤムに使ったり、インド風にザーグに入れたり、あるいはメキシコ風にモレと合わせるなど活用法はいくらでもある。これはけっこう嬉しい。
肉ばかり食べているとさすがに飽きてくるので、2/3ほど食べたところででギブアップ。お勘定は70ドル。スカートステーキとサングリアが同じ値段というのは笑ってしまうが、それだけ肉が安いわけだ。
お腹が苦しいし、チーズや米を買い込んだために荷物が重いのですぐそこからバスに乗ろうと思ったが、バス停より先にElmhurstの地下鉄駅が現れた。あとで調べたらQ53はRockawayまで行く急行バスでバス停が異様に少ないようだ。帰りのバスは病院前から乗るべし。