評価:5/5点
前々回、前回とTellurideに来るたびに足を運んでいる9545。今回は単純でカロリーが高いだけが取り柄の「スキー場飯」に変化をつけるためにお昼を食べに行ってみた。どうせ食べるならMountain Villageまで降りて、どうせそこまで行くなら9545に行ってやろう、というわけだ。
9545 トトーポスとサルサ
トトーポスとサルサ
外に張り出してあるメニューを見るとランチメニューはサンドイッチなどが主体でパッと目にはそこらのスキー場飯とあまり変わらない。だがここはほかならぬ9545だ。とにかく入ってみることにした。
メニューを見て二人とも気になったのはキューバンサンド。そいつにSouth of the border greens、つまりメキシコ風サラダを付け、もう一つはBLTをハーフ、スイートポテトフライトとブロッコリーポタージュをプラス。一部のサンドイッチはハーフにして日替わりスープを付けることができるのだ。
待っている間にトトーポスとサルサが運ばれてくる。これからして既にうまい。たいしたものには見えないんだけど唸らされる。
9545 BLT(ハーフ)とブロッコリーポタージュ、スイートポテトフライ
BLT(ハーフ)とブロッコリーポタージュ、スイートポテトフライ
スープはブロッコリーのピューレというほど濃厚。揚げリークのトッピングも良いアクセントだ。厚切りベーコンがまたうまい。キューバンサンドはスパイシーな豚肉にチーズたっぷり。サラダだってそうなのだが、シンプルだけど一つ一つの素材に良いものを使い、きちんと調理している。スイートポテトフライがいい例で、Fat Alley BBQのとは全く別物だ。いや、それだけじゃなくてキラリと光るものがあるのだ。そこがすごい。
9545 キューバンサンドイッチ、South of the border greens
キューバンサンドイッチ、South of the border greens
あとになって気がついたが、店の入口スペースにはスリッパがあってスキーブーツの人は履き替えられるようになっている。店内は床が滑って確かにブーツだと危険だということもあるが、食事中に足を解放できるのも嬉しい配慮だ。
最終日には満を持して夜に再訪。今週からメニューを少し変えたそうで、見覚えのある定番アイテムもあるが、見覚えのない品も多い。しばし考え込んでからまたまたハーフのセビーチェ、それにエビのグリル、豚のローストを選択。ワインは白と軽めの赤をグラスで一杯ずつ、ということでSan Telmo TorrentésとVentisquero Pinot Noirを。
9545のパン
パン
まず出てくるパンはちょっとフーガスっぽい感じ、焼き立てでうまい。お伴にはすっかりおなじみになったサボテンの実のバター、オリーブオイル、グリーンオリーブのタプナード。サボテンバターはlulunの大のお気に入りだし、オリーブオイルも美味しいものを使っている。今回初登場のタプナードもおいしいオリーブを使っているようでとってもおいしい。コピーしてやろうと思ったがちょっと解析できない。いずれもパンとワインに合ってついつい手が出る。
9545のオリーブオイル、グリーンオリーブのペースト、サボテンの実のバター
オリーブオイル、グリーンオリーブのペースト、サボテンの実のバター
セビーチェはココナツミルクとライムのちょっと甘くて酸っぱいハーモニーに、青唐辛子の辛味が加わって絶妙。少しレモングラスかコブミカンのようなアジアンな香りもある。さっぱりめのトロンテスがなかなか合う。
9545 セビーチェ(ハーフ)Ceviche with Poblano Lime Coconut Dressing and Crisp Tortilla Chips
セビーチェ(ハーフ)Ceviche with Poblano Lime Coconut Dressing and Crisp Tortilla Chips
ここは主菜だけでなく付け合せもおいしいのだが、今回は二人ともほぼ同じものだったのは単に運が悪かったのか。でもこれがおいしい。ズッキーニ主体の炒めものも、ご飯と豆というメキシコ料理ではごく普通のものも実にうまい。クミンの香りがしてスパイスの使い方も秀逸。
9545 豚のローストクランベリーソース
豚のローストクランベリーソース
豚のローストはメニューによるとコーヒーか何かで風味をつけてあるらしいが、激辛のクランベリーソースと相まってこれまたうまい。太い肉の塊だが火の入り方も完璧。年寄りでも食べられる柔らかさ。これはプロの仕事だ。無難なチョイスのワインにも合う。
9545 のエビのグリル Grilled Shrimp with Tequila Orange Sauce and Crispy Chorizo Corn Relish
エビのグリル Grilled Shrimp with Tequila Orange Sauce and Crispy Chorizo Corn Relish
そしてエビのグリル。香ばしくも半生状態のエビにテキーラとオレンジのソースがよく合う。これは絶品。ウェイター一押しだけのことはある。チョリソーのアクセントもいい。
きれいになった二人の皿を見て件のウェイターが「お気に召さなかったようで申し訳ございません、シェフにしかと伝えておきます」「うむ、そうしてくれ」なんていう冗談を交わしたり。
デザートのオススメはチョコレートムースパフェだという。これは以前からメニューにあったが、「これを食べなければ生きたとは言えない」と言われたら頼まないわけにはいかない。ラズベリーが入ってくるのが難点だが、オレオの天ぷらというのがどういうものか気にはなる。
9545 チョコレートムースパフェ、オレオの天ぷら
チョコレートムースパフェ、オレオの天ぷら
チョコレートムースはかなりふわふわしていて普通においしいが特にどうということはない。クリームにしてもまあちゃんとした素材をちゃんと処理してますね、という程度。一方のオレオの天ぷらだが、これが意外とうまい。だって中身はただのオレオでしょ?と言いたくなるぐらい別物のおいしさ。これはちょっと魔法のようだ。
今回も大満足。こりゃ今度来たときは毎日ここで食べるか、と半分本気で思ってしまう。果たして次回どうするか自分でも楽しみ。