ペルー:マチュピチュ遺跡

マチュピチュ。一度は行ってみたいと前々から思っていたもののあまりにも遠くてひるんでいた地だ。ニューヨークにいる間に行ってみたいベスト3のキューバとメキシコ(マヤ文明の地)は訪れた。最後に残ってしまっていたが、ついに訪れる日が来た。

火, 2013-08-20 12:03 - マチュピチュ山からマチュピチュ山から

行くときはインカトレイルを歩いて峠からマチュピチュが目に飛び込んでくる感動を味わいたいと意気込んでいた。ところが、調べてみるとトレイルの入場制限は一日500人。トレイルに適した乾季は人気でかなり早くから申し込まなければならないなど制約が多い。さらに、高所に順応してから3泊4日のトレイルに参加するのはあまりにも時間が足りなさすぎるし、途中4000mを超えるところもあり、ここでも高山病の心配が持ち上がる。一方、1泊2日のコースはクスコ発のものばかりで、高度に慣れてからクスコに乗り込むという我々のスケジュールとは合わない。高山病になりやすい体質なので致し方無い。ということで諦めたインカトレイルだったが、ツアー参加が不可欠で気ままに歩きたい我が家向きではなく、結果的にはやめてよかったのではと現地をふらふらと歩きながら気がついた。

火, 2013-08-20 08:53 - マチュピチュマチュピチュ

結局、オリャンタからマチュピチュの下の村アグアス・カリエンテスまで電車で移動して一泊。翌日、早朝からマチュピチュ遺跡を見学して、その日のうちにクスコまで移動するというスケジュールを組んだ。

トレイルの人数制限も厳しいが、マチュピチュの遺跡だけを見るにしても観光客が多いのが問題である。2011年の夏に遺跡への入場人数が制限されるようになった直後は入場券を購入できない人が続出でトラブルになったと聞く。現在はなし崩し的に人数制限がないのも同じ状態になっているという噂。

ただし、入場券を事前に入手しておくのは必須事項だ。入場券をネットで買うシステムは存在するが、まともに機能しないとか支払い方に問題があるとかで実質ほとんど買えないらしい。どうやら、マチュピチュの下の村アグアス・カリエンテスで前日に購入するのは問題なくできそうなので、旅行前に入場券の手配はしないことにした。

2013年8月19日、アグアス・カリエンテスに到着して宿にチェックインすると、まずマチュピチュの入場券とバスの券は持っているかどうか宿の人が確認してくれる。そして、持っていないと告げると購入場所(入場券とバス券は別々のところで販売)と営業時間を教えてくれる。さすが、慣れたものだ。ここまで来てマチュピチュに行かない宿泊客はいないだろうから当然といえば当然なのか。

まずは、マチュピチュの入場券売り場へ。入場券は3種類。マチュピチュ遺跡だけのもの、神官の住居跡のあるワイナピチュ山(標高 2690m)入山とセットのもの、マチュピチュ山(標高 3051m)入山とセットのものだ。ワイナピチュ山とマチュピチュ山とあるが、ワイナピチュは若い峰、マチュピチュは老いた峰と言う意味だとか。

火, 2013-08-20 12:16 - ワイナピチュ峰ワイナピチュ峰

一日400人限定のワイナピチュ券は売り切れ。反対側のマチュピチュ山に登る券はまだあるというので、そちらを購入。とりあえず、買っておいてマチュピチュ遺跡だけで時間が足りなくなったら登らなくてもいいかなという気持が半分(本当は1割ぐらい)。登りたいという気持が半分。実際に行ってみないと遺跡見学にどれだけ時間をかけてしまうかわからない。ここはペルーソーレスでの現金払いのみだ。

月, 2013-08-19 17:59 - バスの切符売り場バスの切符売り場

バス券は当日でも買うことができるものの、前もって買っておいたほうが朝の貴重な時間を無駄にせずにすむ。バスだと20分ほどの距離。歩いていくと、急な坂道を一時間半登ることになるそうだ。

切符も買ったし準備は万全だ。と言いたかったが、この日アグアス・カリエンテスの村全体が停電のためデジカメを充電することができないという事件というか大誤算が発生。kame が折角この日のためにと長いレンズを買ってくれたのに。

月, 2013-08-19 17:58 - マチュピチュへのバス券マチュピチュへのバス券

8月20日(火)の朝5時50分にホテルを出る頃に、外がようやく明るくなりだしていた。建物の中は停電のためまだ暗かった。天気は薄曇りのようだ。マチュピチュ行きのバスは5時半が始発だ。バス停に行ってみると行列が長く続いている。すでにバスに乗っていってしまった人がたくさんいるだろうに、すごい数だ。結局乗るまでに30分以上かかった。それでも今並んでいる人はすべて Aguas Calientes に泊まった人たち。Ollantytambo からの最初の電車が着く8時ごろにから再び次の混雑が始まる。

火, 2013-08-20 06:56 - バスを待つ行列バスを待つ行列

途中歩いて登る人たちを追い抜きなたら、ジグザグに十数回カーブを切って進み、7時頃に到着。降りたらたら先ずはトイレ(1ソル)。遺跡への入場口の先にはトイレはない。遺跡内には20リットル以上の荷物は持ち込みは禁止になっており、手前に荷物預かり場がある。すべての荷物を背中に背負っているものの、面倒だしそこまで大きくはないので担いだまま入ることに。Mac や iPad はオリャンタの宿にスーツケースとともに置いてきたし、一泊だけのコンパクトな荷物なのだ。

火, 2013-08-20 12:17 - マチュピチュ遺跡入口マチュピチュ遺跡入口

水筒はよいがペットボトルは禁止と厳しいことを書いた情報もあったが、今どき大抵の人はペットボトルを買って水筒なんて持ってきていないよと憤慨しながら、念の為にペットボトル一本は隠し持った(ペットボトルのチェックなしだった)。遺跡の中は店もなければ太陽を避けることもできないので、水分と帽子、日焼け止めは絶対に必要だ。持っていかずに失敗したのは虫よけ。刺された時にはまったく気が付かず、しばらくしてから腫れるタチの悪いのがいる。幸い lulun はやられなかったが、kame は餌食になってしまった。遺跡を歩いていても刺された跡が痛ましい人が。熱帯山岳樹林帯には虫がいる!

火, 2013-08-20 07:59 - マチュピチュマチュピチュ

雲の中に紛れてしまっているような状態だったので kame の判断で、見張り小屋と呼ばれる丘の上にあって眺めのよい遺跡の方は後回しにして奥へと進んでいく。

火, 2013-08-20 08:05 - マチュピチュマチュピチュ

さすがに規模がでかい。予想以上に大きかった。最初は曇り空でまわりがクリアーに見ることができなくてがっかりしていた。しかし、雲がかかっているからこそ神秘的でまさに他と隔てられている天空の城らしさがあるのだ(と晴れてから悟った)。両方のマチュピチュを体験できたのは幸運だった。

火, 2013-08-20 07:56 - マチュピチュ付近でよくみかける紫色の花(シソ科)Tucnay

昨日の車窓からも時々見かけて気になっていた藤色の花が早速お出迎え。Tucnay(トゥクネイと呼ぶのだろうか)という名前のシソ科の植物だそうだ。間近で見ることができて興奮。

火, 2013-08-20 08:20 - マチュピチュルクマの木

植物の札を見ながら「これ、ルクマの木!」と感動。マチュピチュで植物見て喜ぶ奴はあまりいないかも。しかし、これがあのカスタードプリンのような不思議な味がする果物がなる木かと嬉しくなってしげしげと眺めてしまう。

火, 2013-08-20 08:19 - マチュピチュの花時計草(パッションフルーツ)

その隣にはトケイソウが咲いているではないか。パッションフルーツがなるのだ。後日調べたところ、トケイソウは中央・南アメリカが原産地となっていた。

火, 2013-08-20 10:31 - マチュピチュの花マチュピチュの花

現在のマチュピチュは観光のことを配慮して遺跡が見やすいように植物が殆ど植えられていないが、100年前に発見されたときは、覆われていたのだ。ここは熱帯山岳樹林帯で植物が育つ場所だ。きっと、ここに人がいた当時はもっと植物がたくさんあって全く違う光景だったのだろう。ほんの 5、600年ほど前の話だ。スペイン人がやってくる少し前のことなのだから。

マチュピチュは15世紀にインカの王族の別荘的な存在として作られて、人々の暮らす都市があったわけではなかったらしい。ほんの 5、600年ほど前と言っても、100年前とはずいぶん変わっただろうし、その500年前の姿は想像力を駆使しても描くことができない。いや、想像力のための知識がなさすぎるのか、あまりにも遠く離れた世界すぎるのかもしれない。そのためか、さほど遠い昔でもないのに、太古に思いを馳せるような気分になる。

火, 2013-08-20 08:38 - マチュピチュマチュピチュ

時々、ガイド付きの団体に行く手を阻まれながら見て回る。ゆっくりと巡るのもよさそうだけれど、如何せん時間が足りないし、人が多すぎる。少しずつ雲が上がって、まわりの山が見渡せるようになった。

火, 2013-08-20 09:39 - 雲が上がってきたマチュピチュ雲が上がってきたマチュピチュ

右も左もわからなくなっていた lulun が、山に登る前にトイレに行きたいと言い出すと、kame が「えっ?いまさら」と反応。どうやら、だいぶ山の方に上がっていたらしい。なんとなく入口の方に戻ってきたなと思ったので言い出したのだったが、遅すぎたようだ。とは言え、膀胱炎にはなりたくない。「ゴメン」と謝りながら、とにかく一旦外に出て無事に用を済ます。入口からは相変わらずすごい勢いで遺跡の中に人が流れ込んできている。我々は再入場だったので、並ばずに中に入れてもらえて助かった。

火, 2013-08-20 11:51 - マチュピチュ山登山道入口マチュピチュ山登山道入口

とにかく、マチュピチュ山のほうにずんずんと進む。Mt. Machu Picchu と書かれている小道で入山許可を持っているかチェックが入る。さらに進むと、正式な登山道入口があった。知らずに迷い込んでしまう人を防止するために手前に係員が配置されていたようだ。門を入ったところに受付があり、券を見せて入山帳に名前と時間を記入。だいだい、150番目ぐらいだった。

火, 2013-08-20 11:50 - マチュピチュ山登山道受付マチュピチュ山登山道受付

さすがに毎日多くの人が登るだけあって、道はしっかり整っているがなかなかハードである。もしかして、この石の階段も15世紀頃に作られたものなのだろうか?

火, 2013-08-20 11:32 - マチュピチュ山登山道の階段マチュピチュ山登山道の階段

lulunは登りだすとすぐに高山病の症状が出てくる。コカの葉をかみながら、水を飲みながら、しっかりと腹式呼吸をしながら登っていくようにしたけれど、頭痛が始まってバテバテだ。

火, 2013-08-20 11:28 - マチュピチュ峰からマチュピチュ峰から

しかし、高いところからの眺めはよい。雲も晴れてマチュピチュの全景がはっきりと分かる。こうなると天空の城のイメージは消える。上の写真の真ん中辺りにマチュピチュの遺跡群がある。

火, 2013-08-20 11:50 - マチュピチュ峰からマチュピチュ峰から

とても、頂上までは時間的にも体力的にも無理なので断念したものの、高いところから眺める景色は素晴らしく山に登ってよかったなと。そして、ワイナピチュ山をバックにしたマチュピチュの遺跡群のある景色を見ることができるマチュピチュ山の方に登ったのも残り物に福があった感が。もっと時間があったらゆっくり登って頂上まで行くことができたのにと少しばかり心残りでもあるけど、そういうことも旅の思い出になる。

火, 2013-08-20 12:02 - llama at Machu Picchuマチュピチュを見下ろすラマ

ラマの姿を時々見かけたけれど、観光用に飼っているのだろうか?単に観光客慣れしてしまった野生のラマなのだろうか?

出口へと向かっていると、同じく帰ろうとしているお姉さんたちがいてどっちに行ってよいのかわからなくなっていた。こんなところを地図なしで歩いていると当然だと同情してしまう。lulun にはプライベートガイドである kame がついているから安心だ。昨日電車の中で売っていたマチュピチュ・マップ・バンダナ、地図の精度はわからないものの使えるかも。

火, 2013-08-20 12:06 - 階段いっぱいマチュピチュ

ワイナピチュ山やマチュピチュ山に登らなくても遺跡の中は階段がいっぱい。マチュピチュ入口までは乗り物で来ることができるものの中は自分の足で歩かなければならない。年配の方や脚の悪い方はかなりきつそうだった。足腰がしっかりしているうちに訪れてよかったと、しみじみ。

帰りのバスに乗る人たちがすでに、並んでいるものの朝ほどは待たずに 11時25分には乗車できた。これで、13時過ぎの電車は楽勝だ、ほっ。ちなみに、クスコからの日帰りツアーでやってくる人たちがマチュピチュにいるのは10時から2時の時間帯、曜日では月曜日が一番混むらしい。これから行こうと思っている方、ご用心を。

10分しか充電できなかったデジカメの方は数枚しか撮影ができなかったものの、iPhone はeneloopのお陰で80%ぐらいまで充電できたので余裕でバッテリーがもった。もちろん日頃と違って意識して控えめに撮ったのだが。たまにはバシバシ撮りまくらずに、厳選するのもいいか。


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