以前からチープ・トリックがあまり米国東北部に来ない、とこぼしていたkameだが、よりによってペルー旅行に割り当てた日にNJ州EnglewoodのBergen PACでのギグが発表になった。なんという間の悪さ。
Cheap Trick at Bergen PAC
Bergen PAC
この時点で休暇は申請してあったがペルー行きのチケットはまだ取っていなかった。いざフライトを探すと日程を一日早めないといけないということがわかり、休暇を追加申請。ということはチープ・トリックの前日にNYに帰ってくることになる、と気がついた。
急いでチケットを探すとトム側(ステージに向かって右側)にぽっかり2席空きがあるではないか。中央部はバカ高いので値段的にもこのあたりが妥当だろう、と即ポチった。あとは飛行機が遅れないことを祈るだけ。
チープ・トリックを観るのは2年前のコニー・アイランド以来だが、あれはまあカウントに入れるべきではないからその前のAtlantic Cityが最後になる。lulunにもSurrenderとDream Policeの歌詞を予習させて万全の体制で当日を迎えるはずだった。
やや旅の疲れはあったが一応無事に帰宅した翌朝、起きてみると身体がだるい。体力を温存すべく昼寝もするが良くはならない。ちょっと熱があるようだ。lulunにばれないように気をつけながら5時前に出発。
行き方は前回のマーク・コーン&スザンヌ・ヴェガでだいたいわかっていたが、なぜか今回はバス乗り場が長蛇の列。しかもなかなか進まない。いつになったらバスを諦めてタクシー乗り場に走るべきか、などと考えながら待っていたがしばらくしたら乗れた。
Benniesで夕食を食べ、会場に着くと胸にスティッカーを貼った人たちがいる。そういえば高いチケットはショーの前にメンバーと会えるという特典が付いているのだった。ちょっと羨ましい。チープ・トリックは中学時代のヒーローだがそこまでするのは品がない。
Cheap Trick at Bergen PAC
Bergen PAC
Bergen PACはこじんまりとしていて良い会場だ。席は思ったほど端のほうではないし10列目ぐらいなのでステージにもけっこう近い。ただこの距離ではリックのピックは届かない。残念。ステージのセッティングはシンプルだが市松模様のアンプなどは復活している。前座がいないのも嬉しい。
Cheap Trick at Bergen PAC
Cheap Trick
8時を少し回ったろころで開演。もちろんHello Thereで、以後客席は立ちっぱなし。体調がすぐれないkameにはちょっときついがそんなことを言っている場合ではない。やや年配の観客は時々座ったりしている。みんないつまでも若くはない。
Cheap Trick at Bergen PAC
Rick Nielsen(左)、Robin Zander(右)
とはいえメンバーは元気そうだし相変わらず音もでかい。変わった点といえばドラムスのDaxxがネクタイにベストという昔のバーニーみたいな服装になったこと。以前はTシャツ短パンでローディーみたいだったが。あとロビンがさらにほっそりしてリックがちょっと太ったみたい。トムは白髪が増えたかもしれないがそれ以外は全然変わらない。
Cheap Trick at Bergen PAC
Rick Nielsen(左)、Tom Peterssen(右)
会場が屋内だとやはり音がいい。トム側にいるせいか特にベースの音がよく聞こえる。トムは機嫌良さそうだし、近くで見ると複音を多用しつつ、3本ずつ束になっている弦をけっこう細かく弾き分けているのもわかる。そういえば今回ステージにいるのは4人だけでサポートはなし。サウンドの分厚さの理由はトムの12弦ベースにあるのかもしれない。
Cheap Trick at Bergen PAC
Cheap Trick
続いてBig Eyes、LookoutとAt the Budokanの収録曲が続く。わりと最近に武道館35週年ライブがあったためだろうか。lulunは予習の成果があって満足そう。
Cheap Trick at Bergen PAC
Rick Nielsen
語りも少なくポンポンと曲を繰り出してくる。Top of the Worldはちょっと意外だったが、あとはCalifornia Man、Ain't That a Shameなど定番が続く。The House is Rockin'のリフでお、それをやるか?と思ったらやはり観客は知らないらしく反応が悪い。周りを見てもサビの"Oh boy, oh boy"で拳を上げているのはkameだけだ。ステージではロビンとトムがこっちを見て何やら言ってるみたい。「おい、この歌知ってるのが一人いるぞ」とか何とか言ってるのだろうか。
Cheap Trick at Bergen PAC
Rockfordギターを弾くリック
Cheap Trick at Bergen PAC
I Know What I Wantを歌うトム
VoicesやStop This Gameはスタジオ盤の過剰なプロデュースを取り払うと実にいい曲なのがわかる。やっぱりチープ・トリックはライブに限る、と再認識するが、そう頻繁に観られるわけないのが痛し痒し。マーク・ノップラーみたいに毎晩とは言わないまでも、今回のツアーの録音をリリースしてくれないものだろうか。
Cheap Trick at Bergen PAC
Rick Nielsen
Dream Policeでひとまず終了。ブリッジ部でローディーがロビンにギラギラのジャケットを掛けに来るという演出があったが、これは初めて見た気がする。当然このままでは終わらないので、アンコールに出てきたメンバーが「じゃ、何する?」と言うと会場からは「サレンダー!」の嵐。いや、それはどうせやるから違うリクエストを、と思ってもそこは無理というもの。
Cheap Trick at Bergen PAC
Robin Zander
Cheap Trick at Bergen PAC
Surrenderの"We're all alright"のあたり
続いてGonna Raise Hellで、コニー・アイランドの時同様「え?ここでそれ?」と思ったがどうやら今回のツアーではここでやっていることが多いようだ。途中にドラムソロが入るあたり、もしかしてバーニーとの訴訟が影を落としているのだろうか、と穿った見方をしてしまう。いずれにせよ徐々にDaxxを正ドラマーへ格上げしようという方向性は見える。
Cheap Trick at Bergen PAC
リックのお化けギターが登場するGoodnight
最後にGoodnightでさっくり締め、大満足の客席に手を振るメンバー。ロビンがこっちを見てるようだったから両手でthumbs upしたらロビンもthumbs upを返してくれた。めっちゃ嬉しい。
Cheap Trick at Bergen PAC
Cheap Trick
外に出たのは10時。汗をかいたせいか熱も下がったようで夜風が心地よい。来るはずのPort Authority行きのバスが大幅に遅れ、しまった、George Washington Bridge行きに乗るんだった、と悔やんだが、NJのコリアンタウンを通って帰ったのはなかなか興味深かった。次回はとにかく来たバスに乗ることにしよう。
なんとか12時前に帰宅、就寝。夏休みの最後を飾るにふさわしいイベントだった。満足。