Cambridge: Yume wo katare

評価:3/5点

ボストン、正確には川向うのケンブリッジに二郎系のラーメン屋があるのを知ったのは確かどこかのサイトのラーメン特集だったはずだ。NYCにはまだ出現していないタイプの店なので機会があったら行ってみるか、とぼんやり思っていた程度だった。

土, 2016-09-10 19:28 - Yume Wo Katare 夢を語れラーメンYume Wo Katare 夢を語れラーメン

バスが遅れたので宿について一息したのは夕方6時。行こうと思っていた店はもう混んで入れない。最初は乗り気でなかったlulunがラーメンにしよう、と言うので郊外へ向かう地下鉄に乗った。

近づいていくと店の前に行列ができている。人数はそれほど多くはないのでおとなしく待つ。店のガラス張りの窓には色々な人が夢を書いた紙が張ってあって、店名が「夢を語れ」と一風変わっていたことが思い出される。外から見ると店のレイアウトは教室のようで、客は横に並んで厨房を向いて座っている。斬新だが一蘭のバリエーションのようでもある。

しばらくして中から出てきた店員が行列から客を数組引き抜き、あっちで何やらブリーフィングしているようだ。なぜか行列の先頭にいた東アジア人カップルは呼ばれなかったので、ラーメン屋の作法でも説明しているのかと思ったが、自分の番が回ってきて謎が解けた。

店員曰く、「ここはラーメン屋ではありません。夢を実現するところです」いきなり「は?」なのだが、店員には客の「夢」を集めるノルマがあり、ぜひ協力してほしいという。ほかには6人ずつ逆順に店に入れること、前金、箸やレンゲや水は自分で取って着席すること、などを説明される。

続いて店内へ。前の客が支払いをしている間に、店員に促されて客の一人が後ろを向いて自分の夢を語り出す。ええっ、こんなことするの?と逃げ出しかけたら前に番号札が立ててある客とない客がいる。支払いの順番が回ってきて夢を語るかどうか訊かれ、二人とも辞退したら番号札を渡されなかった。

土, 2016-09-10 19:58 - Yume Wo Katare 夢を語れラーメンYume Wo Katare 夢を語れラーメン

厨房でラーメンを作っているのは日本人らしく、アシスタントは白人だが喋る日本語は完璧、というかほぼ日本人だ。一度に作るラーメンの数は6杯と決まっていて、客席のレイアウトもそれに合わせているのがわかる。客の食べるスピードが同じなら効率よく回転するはずだが、実際のところはどうなのだろう。

メニューはトッピングとサイズのバリエーションがあるだけ。lulunとkameは二人とも豚ラーメンのスモール。大盛りがレギュラーという名称なので要注意だ。カウンターには昔食堂で使われていたようなプラスチックの食券が並ぶのが懐かしい。

土, 2016-09-10 20:00 - Yume Wo Katare 夢を語れラーメンButa Ra-men (small)

二郎系のラーメンは初めてだが、たしかにこってりとボリュームがあって若者向きだ。スープのダシが弱いのが減点対象だが、甘みのあるスープにニンニクを合わせるのは成功している。コシのある麺の出来はかなりいいし、トロトロのチャーシューは出色だ。

食べ終わって席を立つと店員が丼をチェックして4段階の評価を下す。確かperfect、good job、almost、next timeでkameはgood job、lulunはalmostの判定を頂戴した。

どうやら夢を語れという店は京都のしかも一乗寺にあって、店主はそこの出身のようだ。アメリカではラーメンはカルト的な存在だしエキセントリックな店だと納得できなくもないが、このままのスタイルを日本でやられたら辛い気がする。

麺とチャーシューは卓越しているのは事実だし、ケンブリッジのような学生の街で行列ができるのは理解できる。せっかくアメリカでやるならコリアンのラーメン屋に学んでスープにもう少し力を入れてくれれば嬉しいところだ。普通のラーメン屋だったらたまに食べてもいいが、あの居心地の悪さを押してまた行きたいかは疑問。