評価:5/5点
モントリオールに移動して最初の夕食。今回は前回振られたAu Pied de Cochonに行ってやろうか、と思っていたのだが、TripAdvisorのフランス語のレビューで評価が分かれているのが気になった。
Chez Chose
Chez Chose
今回の宿がLaurierなので歩いて行ける範囲で見たところChez Choseがわりと良さそうだ。総じて評価は家族経営の気取らない小さな店だけど料理の水準は高い、というあたりなので我が家好み。Open Tableで予約を入れてみたらあっさり取れたので混んでいるようではない。やっぱり冬だからか。
店に着くと客は二組ほどでやっぱり空いている。ホールをやっているのは気のよさそうな夫婦で、黒板を持ってきてメニューの説明をしてくれるのだが、丁寧なだけでなく本当に食べ物が好きそうに話してくれるのが好感を持てる。
Chez Chose
ワインとパン
熟慮の末に選んだ前菜。Crème priseというものはパンナコッタみたいなものだ、というのでふうん、と思ったが、こいつがブルーチーズ入り、それにカモの自家製(というのに痺れる)スモークとイチジク。ブルーチーズというところがちょっと不安だがlulunの英断で注文してみた。確かにブルーチーズの風味がするし白カビの匂いもあるが、ぎりぎりkameの許容範囲。キャメルのソースが絶妙にバランスを取っていて唸らされる。いや、この晩は唸らされ通しだった。
Chez Chose
Crème prise au bleu Ermite et canard fumé, figues et caramel de vin rouge
もう一方の前菜はフォアグラなのでストレートに来るかと思いきや、エンダイブのタタン(確かにそういうもの)にこんがりローストしたピーカンナッツ、グレープフルーツだと思ったがオレンジと蜂蜜のソース。このエンダイブのタタンが苦味と甘味を、ソースが酸味を加えていてこれまた絶妙。うまい。
Chez Chose
Foie gras au sel, Tatin d’endive, réduction d’orange, miel et pacanes
メインディッシュは鹿のステーキに芽キャベツ、ニンジン、ビーツといった冬野菜のロースト。きちんとしたステーキでホースラディッシュ入りマヨネーズのようなソースも悪くない。芽キャベツはしっかり焼いたほうが臭みが消えることがわかった。
Chez Chose
Poire de cerf «de Boileau», crème sure de jalapenos
本日の魚は鯖のトマトソースだというので敢えて普通そうなものもと思ってオーダーしてみた。鯖はストレートなポワレでこのトマトソースが実にうまい。甘みと酸味と辛味のバランスが良く、おいしいトマトを使っているに違いない。ここにも冬野菜でニンニクとしっかりローストしたビーツ、ジャガイモ、インゲンがよろしい。
Chez Chose
Poisson du jour (鯖のポワレ、トマトソース)
こうなったらデザートも食べてみたい。チョコレート菓子の三種盛りは濃厚だがそのうち一種がオレンジの酒が強力に効いて甘くないのでバランスがとれている。まぜまぜして食べるのが吉。
Chez Chose
Party de chocolat : gâteau, marquise, peinture et sorbet cacao stout
もう一方はヘーゼルナッツづくし。ややもっそりしたプロフィテロールとたっぷりのスープ、それに特筆すべきはパリパリのキャラメル。うまい。
Chez Chose
Soupe aux noisettes : profiterole à la crème de café et nougatine de noisette
締めにlulunが頼んだエスプレッソもちゃんとしていてやはりアメリカとは違う。
トイレに立ったらタイルの壁に食べ物の薀蓄を書いたパネルが貼ってあってなかなか気が効いている。これがなければ単なる殺風景なトイレなのだが。
Chez Choseのトイレ
Chez Choseのトイレ
勘定をしたらヌガーがちょこっと載った皿を出された。蜂蜜の香りが口の中に広がって素晴らしい。こんなにおいしいヌガーは食べたことない。この蜂蜜買って帰りたいぞ。
Chez Chose
絶品自家製ヌガー
小さな驚きが控えめに隠されている料理はもちろん、ゆったりした雰囲気の手作りっぽい小さな空間、オールドジャズやソウルのBGM、適度にフレンドリーかつ適度に情熱あるスタッフ、と良い材料は揃っている。気に入った。やっぱり料理は愛だな。