今年の秋は実に穏やかで拍子抜けするほどだ。先週のボストンはようやく紅葉が始まっていたうえ、その後気温が下がったので山に行ってみることにした。
春は引っ越しがあったし、スノーシューを別とすれば山歩きなんてすごく久しぶりだ。行き先はSterling Forest State Parkで、Bear Mountainの西側の谷を隔てたところ。去年の冬にスノーシューのできそうなスポットを探していて見つけたので、一度下見に行ってやろうとは思っていたのだ。
Port AuthorityでShort Lineの切符売り場に行くとなんと長蛇の列。みんなどこに行くのだろう、と思って気がついた。みんなWoodbury Commonのアウトレットに行くに違いない。そういえばNYに来たばかりのlulunとkameも防寒着を買いに走ったんだった。
lulunに財布を渡して昼ごはんの買い出しに放ったところ、なかなか帰ってこない。順番が回ったきたがクレジットカードは受け付けないという。残念ながら手元にあるのはアメックスのカード一枚だけ。だいぶ待ってようやく財布が戻ってきたのでなんとか間に合った。しかしアメリカにこんなところがあるとは。今後注意しよう。
バスはBear Mountain行きと同じ道を走り、SuffernからHarrimanへ向かう道を北上する。Tuxedoを過ぎたところのPark & Rideで降りるつもりだったんだが、なぜかバスはそのまま通過。あれれ、と思っていたら少し進んだところで停車し、見るからにハイカーという爺さんが降りた。急いで後に続く。そこはだいぶ前につぶれたレストラン、というかドライブインという語感がぴったりの廃墟で、そこの駐車場で爺さんたちの仲間が集合しているようだ。
出発の支度をしていると爺さんが寄ってきて、「Nurian Trailを歩きに来たのか？だったら入口はあっちだからおいで」と言う。違うんだけどまあいいか、とついていくと、「いいか、そこの先を右に行く小道があるから線路に出て少し北に歩くと右に登山道がある」と教えてくれる。一度調べて行ってみるか。爺さんたちはここで集合してさらに北のBlack Rock Forestを歩きに行くらしい。いかにも教養がありそうで、何もわかっていない極東人にゆっくりと親切に教えてくれるなんて素敵な年寄りだ。
あとでわかったがここは昔Southfields駅があったところらしい。今は何もないが少し北、道路から奥まったところに住宅地があるようだ。なんでもTuxedoというのはタキシード発祥の地で、今でも山の斜面に豪邸街があるらしい。縁のない世界だ。
すくそこに見える分かれ道からOrange Turnpikeを西へ進み、地図によれば右にあるはずのFurnace Loopのマーカーを探すが見当たらない。おかしいな、と来た道を戻り、廃墟がある方に降りて小川を渡るとやっとマーカーがあった。道路から見えるところにあってほしいものだ。
廃墟は昔製鉄所だったようで、そういえばこのあたりはEdison Mineなどいくつもの鉱山跡があるのだった。
落ち葉を踏みしめながらFurnace Loop Trailを反時計回りに上り、Indian Hill Trailに合流すると目の前に池が見えた。紅葉もそこそこきれいだし静かで良い雰囲気だ。このへんはバードウォッチングのスポットでもあるらしい。
予定より歩く距離が短くなったのでIndian Hill Trailを時計回りに進むことにする。しばらく歩くと視界が開けたので岩の上で一休み。
進んでいくと明らかに山火事の跡が見える。かなり広範囲だし落雷の跡もあるので、わりと最近燃えたのだろうか。これ以上大規模にならなくて良かった。
このあたりでは北方向の景色が見える。今年は冷え込まないので樹の葉が紅葉する前に茶色く枯れて落ちているという印象。こういう年もあるさ。
この見晴らしポイントを最後にしばらくは森の中。Sapphire Trailに入り、あとはHarriman駅を目指して北へ、と思いきや、Appalacian Trailと合流するあたりで青いマーカーを見失った。しばらくウロウロするが道がぱったり途絶えている。Appalacian Trailを東に降りれば道路に出るからそれでもいいか、と歩き出してしばらくしたら登山道が横切っているではないか。なんだこれ？と思いながらSapphire Trailを進む。疲れも出てきたし単調な道なので黙々と歩く。
道は右へカーブして小高い丘を登る。丘の上は明らかに植生が変わっていて、ドウダンツツジの大群落。見渡す限りの見事な紅葉だ。花の時期に来てもきれいだろうな。
車の音が近くなったと思ったら道路に出て、目の前にはHarriman駅。ちょうど16:10の列車が来るタイミングだ。これを逃すと2時間半は列車が来ない（バスはある）ので一応狙ってきたのだが、思ったより時間がかかったようだ。
駅にはWoodbury Common帰りの客がけっこういる。タクシーに乗ってここまで来て鉄道で帰るとはなかなか酔狂な人たちだ。途中の駅からはハイカーらしき人たちがけっこう乗ってきてほぼ満員。一体どこから湧いてくるのだろうか。
The Strand Smokehouseでビールを飲んで帰宅。今年はどんぐりがたくさん収穫できて満足。久しぶりの山は気持ちが良くて寒くなる前にまた行きたいねえ、と話したがどうなるだろうか。
本日の行程は5時間、12km。
コメント
帰りの電車が汽笛を鳴らしながら走るのがなかなか良かった。