評価:4/5点
カリブ海のフランス領サン・マルタンに来たからにはフランス料理を食べるのは至極当然。宿があるGrand Case村はレストランだらけで、フランス料理以外の店を探すのが大変なぐらい選択肢が豊富だ。Trip Advisorのフランス語の書き込みを参考に絞り込んで予習した。
宿について一段落したらまずは村の探検に繰り出す。午後の早い時間なので閑散としているし開いている店が少ないのは日曜日ということもあるか。Auberge Gourmandeの前を通った時にlulunが「Routardのシールがある!」と興奮した声を上げる。この名前は見覚えがあったし確かTrip Advisorでの評価も高かった。Guide du Routardのシールがあってハズレという店はまずないので、早速初日の晩に攻め込むことにした。
店に着いた6時過ぎにはぱらぱら客が入っている。店内の雰囲気はフランスそのもので、違うところは店員が英語を操ることと暖かい風が吹き抜けていくことぐらい。笑ったのは店の奥の「トイレ」と書いてあるドアの向こうにワインが積んであることで、トイレにワインを置いているのかと思った。実際にはトイレに通じる廊下に置いてあるのだが、ほかの客も同じことをネタにしていた。
まず運ばれてくるのはパンとサービスのシャンパン。おまけは嬉しいしこのシャンパンはけっこううまい。バゲットは普通だがころりとした小さなやつは甘みがあって温かくうまい。
悩んだ末に選んだのは前菜にロブスターのビスクと帆立と海老などのパイ仕立て、メインにフォアグラと鴨。合わせてワインはSancerreのハーフボトルにカベルネをグラス一杯。Sancerreはパッションフルーツが前面に出てけっこううまい。冷やしておいてくれるのはいいが自分で注げないのはやや不満。
まずはビスク。甲殻類のダシが効いてて濃厚、ややワイルドな味わいでうまい。これは嬉しい。
しかし、エビとホタテのパイ仕立てはさらにうまい。ソースはビスクにクリームを加えてマイルドにした感じだが、パイ生地といい具といい絶妙な仕上がり。思わず唸る。
フォアグラはでかくて贅沢なのは良いのだけど、でかすぎてちょっと飽きる。洋梨との組み合わせは良い。
鴨はやや焼き過ぎで薄切りすぎるのがやや残念、パイナップルは蛇足。しかし付け合せの出来は素晴らしい。特にズッキーニ田楽と焼きトマトが秀逸で、カリフラワーグラタン、オリーブ入りマッシュポテト、ブロッコリー、ナス炒めも美味。
選んだデザートもメニューにはない本日のスペシャル。ミルフィーユとクレーム・アングレーズという言葉が聞こえたので迷わず選んだが、フランス語がわからなかったナントカというやつも付属することは再度説明を聞いて理解した。こういう場面で力不足が露呈する。
で、そのデザートはとても美味。ふわふわのカスタードがすばらしい。
最後にはこれまたサービスでバナナ・バニラ味のラム。これがめっちゃうまい。フランス領カリブ海のラムは独特の製法でそこが美味しいのかもしれないが、実はバナナがとにかく美味いのだということは後で知った。
さすがカリブ海随一のグルメスポット、Grand Caseで上位に入るだけあって実力はフランス本土並みだ。この分なら残りの日々も美味しいものを食べて暮らせそうだ。楽しみ。