NYに来て7年目だというのに、キューバを別とすればカリブ海には行ったことがない。lulunは元ダイバーだが、kameは海がちょっと怖いしビーチでダラダラするのも苦手なのでただのリゾートに行ってもやることがない。それじゃあ古い街を楽しめるところはどこだろう、できれば旧スペイン領の港町、という条件で絞り込んでみた。
もう一つ、リタイアした後にどこに住もうか、という問題が徐々に現実味を帯びてきているのでそろそろ移住候補地の下見を始めたいという腹もあった。
その結果浮上してきたのはコロンビアのカルタヘナ。南米大陸にあるがカリブ海に面し、城壁に囲まれた港町。ぴったりではないか。スペイン語はできないが長期滞在ビザが取れる。
カルタヘナのことを調べていると、旧市街はいいがその外にマイアミみたいなビーチがあるものの、きれいじゃないしビーチとしてはかなり不満が残りそう。カルタヘナから船で行く島もあってそっちは良さそうだけど、交通が不便で両方組み合わせるには時間が足りない。やむなくほかの行き先を物色しだした。
スペイン領でなければフランス領となるのは当然。グァデループやマルティニークにはパリからの直行便はあるものの、アメリカから行くのはかなり不便だ。唯一サン・マルタンというオランダと二分割している島にはJFKからデルタとJet Blueが直行便を飛ばしている。
「サン・マルタン」は、日本語では一般的に「セントマーチン島」と呼ばれている島だ。カリブ海に浮かぶ 100平方kmの小さな島。北半分が仏領、南半分がオランダ領。フランスとオランダの陸地の国境がある唯一の場所だとか。そりゃそうだろう。そのため、仏領は St. Martin と、蘭領は Sint Maarten と別表記になる。蘭領側は、大型客船やヨットがやってきて、カジノのある超高級リゾート。仏側はもっとシックで自然派のリゾートだ。
宿を探しているうちにGrand Caseという村が適度に田舎と街が混ざっていそうで、それなりのクオリティとコストのホテルがありそうだということになった。このGrand Caseが「カリブ海のグルメ首都」と呼ばれていることは後になって知った。我ながら目の付け所がいい。
宿は村の外れにあるGrand Case Beach Clubに白羽の矢を立てた。洗濯ができるというのが最大の理由だが、大きくはないけど設備は揃っていてなかなか快適そうだ。やや奮発してデュプレックスの部屋を予約。
以上のような経緯で旅を手配してくれた kame。行き先がスペイン語圏からフランス語圏になったものだからとっても安堵していた。日頃言葉で苦労していないから、やはりプレッシャーになるようだ。
泊まった部屋の目の前は海。ベランダには椅子とテーブルがあり、海を見ながらくつろぐことができる。そして、その海の美しいことと言ったら。
今回は朝食付きということもあり料理をする予定はないが、キッチンは充実しており、冷蔵庫が大きいのが嬉しい。5リットルの水のボトルが余裕で入る。
赤ワインが一本サービスでついてくる。どうせ無料ワインだからと思っていたのが失礼なちゃんとしたワインだった。さすがフランス人が来る土地柄、下手なものは置けないのかもしれない。
ソファーも実に快適だった。
上の階が寝室。キングサイズでゆったり。シーリングファンが寝室でなく、ソファーのあたりに風が来る位置に設置されていたのが残念。
宿の敷地内にはハンモックがところどころに吊ってあったり、デッキチェアがずらりと並んであったり、海に面した席のあるカフェも併設。
ここで毎朝頂いた朝食に出てきたクロワッサンとパンオゥショコラが美味しかった。昼食でも数回利用したが、そちらも満足。
歩いて10分ほどで村のレストラン街があるのも、車を使わない我々にはポイントが高い。
カフェのある小さな岬になっているところは、海にそって歩く道があり、昼はビーチから離れて静かに過ごしたい人の憩いの場に、晴れた夜は星を見上げる絶好のスポットになる。
目の前のプライベートピーチにすぐに出ることができる。プールもあるのだが、ここで一生懸命泳ぐ人がはたしているのか。ジムを利用していた人は見かけたから、いたかもしれない。
まさに、「バコンス!」という感じで、のんびりと&昼間はしっかり運動もして過ごすことのできるよい宿だった。
lulun はテンションがあがって、到着した途端にはしゃぐ。こんなところで、数日まったりと過ごすなんて嬉しい贅沢だ。kame の嗅覚に感謝。