アメリカに来てからCS&Nは2回（Atlantic CityとBeacon Theater）、C&N1回、Graham Nash1回と観ているし、そういえばニール・ヤングも一度観たのだった。だがDavid Crosbyのソロはまだだ。
実は少し前にCity Wineryに3夜連続でクロスビーが出ていたことがあったのだが、チケットが取れずに断念したのだった。確かにCS&NでもC&Nでもクロスビーの曲、特にAlmost Cut My HairとかLong Time Goneは大受けでその人気はちょっと意外なほど。きっとヒッピー世代のテーマソングなんだろうな。
そのCrozがTown Hallに来るという。気がついたのが遅く、その翌日には同じTown Hallでリチャード・トンプソンを観ることが既に決まっていた。一瞬lulunに相談したけどさっさとチケットをゲット。結局この週はDriftwood、Metropolitan Opera、Croz、RTと4日連続音楽三昧週間となった。NYの夏ならではの楽しみだが体力勝負だ。
かつ濱で腹ごしらえをして7時半少し前に会場に到着。予想通り平均年齢が高い。翌日リチャード・トンプソンの観客と較べて気がついたが、男性の比率が高いのが面白い。リチャードおじさん意外と女性に人気あるじゃないか。
てっきり息子ジェイムス等を従えてのステージだと思っていたが、本当に一人でやるというのは会場のポスターを見て初めて知った。ううむ、声はいいが一人でギターも弾いてハーモニーもなしで本当に大丈夫か、とちょっと心配になる。
そんなkameの気持ちとは無関係にCrozはギター一本を持って登場。白いシャツがなかなか決まってる。
半分ぐらいはkameも知らない曲だが、ほかの観客はよく知っているようだし客席の雰囲気も温かい。Crozも機嫌良さそう。
歌もさることながら、Crozの語りがまたいい。若い頃と変わらずストレートで（だからByrdsを追い出されたのだが）、社会の不正に対して怒り、でもユーモラスですごくいいやつという印象が伝わってくる。このへんが人気の理由かもしれない。
Graham Nash同様、CS&Nだと6曲ぐらいしか歌えないのが残念だと言っていたが、「他人の曲はあまりやらないんだけど」とFor Freeを歌ってくれたのは嬉しかった。もちろんJoni Mitchellの名曲だがクロスビーの声だとさらに素晴らしい。歌うのが好きだって言うんだけど、これだけ上手くて声が良ければそうだろうよ。
ギターはほぼ1曲ごとに持ち変えるのだが、ローディーにギターを渡すときはまっすぐ立てて正面を相手側に向けて差し出す。何かの儀式みたいだが理由があるのだろうか。
休憩を挟んで再登場した時にはお色直しをしていて黒いシャツに黒いジャケット。「ドレスアップしちゃった、ディナーに誘ってもらえるかな」と言うので観客が「どこ行く？」すると笑って「年寄りのことわかってねーな、これ終わったらバタンキューだぜ」。
後半も前半と同じようにギターを取り替え、語りを入れながら歌っていく。途中でギターを持たずにマイクの前に立ったからあれ？と思ったけど、What Are Their Names。なるほど、そう来たか。短いけどCrozらしい歌だ。
Deja Vu、Guinnevereと代表作を続けてひとまず終了。
アンコールはCowboy Movie。長い曲だけどえ？これだけ？と思っているうちに会場が明るくなった。Almost Cut My HairやLong Time Goneをやらないとは思わなかったのでちょっと意外だしほかの客もちょっと不満そう。あとでわかったが数日前のセットリストも全く同じだった。
あっという間の2時間だった。歌の良さももちろんだが、元気そうで機嫌も良さそうなCrozはとても魅力的。聞いていてここでNashのハーモニーがかぶさってくれば、という場面もあったから、欲を言えばC&NをCity Wineryで、というのが最高の贅沢かな。