2015年7月20日(月)
バンクーバーからジャスパーまでの移動に利用した寝台列車 The Canadianは、バンクーバーからトロントまでを5日かけて東西に横断する路線だ(夏季は週に3便運行)。実は乗ってみたいと思ったものの値段を見て諦めた過去がある。今回は高齢の両親と一緒で、たぶん彼らにとっては最初で最後の海外での寝台列車の旅になるかもしれないと奮発して計画に組み込んだ。
The Canadian には大きく分けて3つのランクがある。お高い方から順番に、Prestige Sleeper Class、Sleeper Plus Class、Economy Classだ。我々が利用したのは真ん中のクラス。その中にいくつかの座席や寝台のタイプがあるのだが、二人ずつドアで仕切られて完全に個室になってしまうとみんなでわいわいと列車の旅を楽しめないだろうと考慮して、寝るときにだけ廊下とカーテンで仕切られる席を予約した。
駅に到着すると、すでに同じ電車に乗ると思しき人たちが集まっている。まず荷物を預ける。しかし、手際が悪く列の進みが遅く、間に合うのだろうかと心配になるぐらいだ。
ホームに入れるようになると、恐ろしく長い電車が停車しており、乗り場がよくわからない。車掌に尋ねてみると、2つのホームに分かれて停車しており、我々が乗る車両は別のホームの方らしい。
再び歩いて移動。改札を入ったところで、どちらに行けばよいか指示してくれるシステムにすべきではないか(と何も知らないこの時点では憤慨していた)。
乗車すると、車両の担当の人が説明にやってくる。ウェルカムシャンペンサービスがあるというので、パノラマカーへ。しゃれたアミューズも。そして、シャンペンのおかわりもつぎにきてくる。こんなサービスがあるなんて嬉しい。
荷物のつめ込み作業や連結作業が終わりようやく出発。50分遅れで、9時20分だった。もう明かりが僅かしか残っておらず、楽しみにしていた車窓からのバンクーバー郊外の景色を見ることができず残念だ。
シャンペンを楽しんでいる間に、座席をベッドへとセッティングをしてあり、シャワーセットも配られている。少し小さめのバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、石鹸、シャンプー、ボディーローションと充実している。シャワー室は手前に脱衣スペースも有り快適に入ることができる。
交代でシャワーに入りながら、パノラマカーの下のラウンジで宴会開始。シャンペンを飲んでいたのにもかかわらず、ワインを2本空けてしまった。家族揃って鉄道好きなのだろうか、みんなテンションが上がっていたようだ。とはいえ、11時ごろには就寝。
朝目を覚ますと明るくて自然の中を走っている。山が近くなった。ワクワクする。
朝食は6時半からだが出遅れてしまい、満席のため順番待ち。ダイニングカーは、白い布のテーブルクロスが敷かれた、ちゃんとしたレストラン。ベーコンやトーストの付いた卵料理、フルーツの載ったフレンチトースト、オートミールなどから選択する仕組み。フレンチトーストを頼んだところ、予想以上のおいしさで嬉しい。
パノラマカーやその下のラウンジには、ジュースや水、コーヒーなどの飲み物と、果物やスナックやお菓子などを常備して、いつでも食べる事ができるようになっている。それ以外にも、通路のところに飲料水を取れる設備があり、快適な旅ができる。お値段がはるだけのことはある。
朝食から戻ると、ベットから座席にもどしてあった。まるで日本の宿のようだ。時差ボケの人たちは座席を再びベッド形式に伸ばして寝ていたが。
一人用個室
ドア付きの個室
だいぶ遅れを取り戻したようで、朝の9時ぐらいには20分遅れで走行しているとのアナウンス。ジャスパーには定刻につきそうなので一安心だ。
時々川を横切ったりしながら、谷沿いの低いところを走り続ける。そして、周りの山が少しずつ高くなっていく。
昼食のコールが11時ぐらいから始まったので、朝と同じシステムだろうと12時過ぎに出向いたところ、出発前に予約をすることになっていると寝耳に水のコトバが。乗る前にチケットのバーコードを読んで、確認するときに、予約するシステムらしい。乗る時にチケットの提示を求められなかったし変だなとは思っていたけれど、「どうやって乗ったの?」と言われてもね。「どうなっているの?」とこっちが言いたい。2時からのスロットには空きがあったので、そこをお願いして出直すことに。
後からVIAのサイトを見ると、我々の乗った 「Sleeper Plus Class の乗客は 出発の一時間前までに VIAのカウンターでチェックインをするように」という一文をかろうじて発見。 チェックインの際にきっと昼食の時間の予約などをしたのだろう。しかしだ、プリントアウトして持っていったボーディングパスには、重要事項として、写真付きのIDが必須など書いてあるのに、チェックインの注書きなど全くない。単に乗車の際にはボーディングパスを提示せよとあるのみ。せめて、必要最低限のことはチケットに書くべきではないだろうか。
ちゃんとチェックインをしたら、ラウンジでゆっくりと出発を待つことができた上に、60歳以上の乗客や子供がいる場合は優先乗車ができるのだったようだ。願わくば、サイトに乗車の時の注意点などをわかりやすく説明したページを作っておいてもらいたい。まさか、電車に乗るのに一時間前にチェックインが必要とは思いもしなかったぞ。
食事を待っている間に、間もなくしたらピラミッドの滝が見えるとの車内アナウンス。速度を落としてゆっくり走ってくれるのでじっくり見ることができた。この Pyramid Greek Falls は、幅46m、高さ91mで、電車からだと近くから見ることができるらしい(車で見に来た場合は川の対岸から見ることになるとか)。
ともかく、2時過ぎからようやく昼食。
食事をしていると、ジャスパー到着に関する放送が流れ「ジャスパーはマウンテンタイムなので、バンクーバーとはは時差が1時間あります。時計を1時間早めておいてください」と。2時から昼食をしても、到着までに2時間あるからとゆっくり構えていたが、つまりは、食事開始から下車まで1時間しかないではないか。
幸い、電車が30分ほど遅れていて1時間半あったので助かった。時差があることを最初から知っていたら、きっとものすごく気をもんで食事を味わえなかったと思われるので、知らなくてよかったlulunであった。
ラウンジの張り紙によると、長旅の客を退屈させないように、アクティビティ・ルームでゲームやショーのようなものが日に2度ほどあるようだ。
我々の利用した席には電源がなく、最寄りのお手洗いにしかない。見張りをしながら充電。完全個室の寝台には付いているのだろうか。
列車は予定通り35分遅れで、ジャスパー時間の 4:35に到着。20℃で雲は多いものの晴れ。荷物が出るまでにしばらくかかるらしいので、待合室で待機。しばらくすると雲行きが怪しくなり、土砂降りに。
その雨の中を kame と lulun義兄は予約したレンタカー屋に向かう。5時には閉まってしまうらしいので、「ちゃんと到着したよ&車を借りるよ」とアピールをしに行った。なにせ、さすがlulun姉、免許証を預入のスーツケースに入れてしまっていて荷物が出てくるまで手続きができないのだ。基本的に似ていないのに、抜けている点では姉妹だ。
荷物が出るのを待っている間に土砂降りに。山の天気だ。一方、車を借りに行った kame たちは、三重チェックでレンタカー屋の場所を確認しておいたにも関わらず、地図の場所になかったらしい。店舗が一年前に移転していてしたのに情報が更新されていないようで、大変だったようだ。6人が乗ることのできる大きな車を借りたけれど、3世帯の大荷物には狭い。
ジャスパーでの宿は Sawridge Inn Jasper。駅から少し離れたところにあるけれど、車があるから怖くない。大きな宿だ。スパまであるけれど、入ってくつろいでいる時間はない。ここにゆっくりと滞在してジャスパー周辺だけを楽しむというのもありだな。
ここは、なによりもランドリールームがあるので選んだ。そのランドリーは、なんと使用料が1ドルという画期的な安さ。安いのは本当にありがたいけれど、2ドルでもいいから洗濯機と乾燥機の台数を倍に増やして欲しい。宿の大きさを考えると、それぞれ2台は少なすぎて、競争が厳しい。順番を待って洗濯して、夜ギリギリの時間になんとか乾燥機にかけるまでできたので、朝一で取りに行ったら、もう洗濯している人いたような状況。
宿に到着後は、部屋に落ち着くまもなく買い出しに。スーパー、酒屋でワインやビール、おつまみを調達した後は、ピザ屋でテイクアウト。皮の薄いピザで好みだ。そして、奮発して1本だけ30ドルのワインを買ったのが、さすがにうまい。
兎にも角にも、山まで辿り着いたぞ。
コメント
旅情報
ジャスパーの駅で見つけた資料によると、オカナガンの方の Ketttle Valley を走る蒸気機関車があるらしい。気になる。
Steam Railway
またチャリで走るのも楽しそうなところだ。機会があったら行きたい。ワイナリー巡りは、車で連れて行ってもらいたいが。
Rail Trail