そういえば今シーズンはまだカヤックに行っていない、と気がついた。幸い日曜日は曇りがちで気温も低い。じゃあ手近なところでOyster Bayにでも行くか、と計画を立て始めた。
我が家からだとバスでWoodsideに出てそこからLIRRに乗るのだが、時刻表を見ると微妙に接続が悪い。それに潮位表によると海にいる時はずっと引き潮で、行きは楽だけど帰りがなかなか辛そうなことがわかった。
この際だからShelter Islandはどうだ、と時刻表を見たらなんとGreenportを午後6時ぐらいに出る電車があるではないか。今までは帰りの電車が夜中までなかったのでSouth Forkまで走って帰ったのだが、これならかなり楽だ。
8時45分ぐらいに出発。Woodside発9時27分の電車に余裕で間に合った。Ronkonkomaでの乗り換えはホーム前方だとわかっていたので前の方に乗る。けっこう混んでいるのでみんなロングビーチにでも行くのかな、と思っていたけどほとんどの乗客は終点Ronkonkomaまで降りなかった。途中でわかったのはlulunが行き先をIsland Parkと勘違いしていて、やたら遠いなと思っていたということ。
RonkonkomaからGreenportへの電車は編成が短いので混雑しそうだな、と身構えていたら拍子抜けするぐらい空いていて自転車も楽に積めた。12時過ぎに最果てのGreenportに到着。外に出るとlulunが「涼しい!」と驚きの声を上げる。エアコンの効いた車内より涼しくて風が吹くと肌寒いぐらい。回りが海だとこれだけ涼しいのか。金持ちが避暑に来るはずだ。
まずは腹ごしらえ、と目星をつけてあったMarie Eiffel Marketに行ったらお休み。こういう時は時間をかけずに食べられるものがいいのだけど、こういう時に限って普通のデリがない。同じ電車に乗っていた初老の夫婦チャリダーもランチ難民になったようでそのへんをウロウロしている。
最悪駅前のダイナーかスーパーIGAか、と覚悟しかけた時にlulunが途中にマーケットという看板が見えた、というので行ってみたらそこも休業。だけど隣のSalamander's On Frontが当たりだったので良しとしよう。
Shelter Islandに向かうフェリーは車がいっぱい。勝手知ったるカヤック乗り場への道を走ったつもりだったのが、道を間違えて進路修正を余儀なくされる。以前も同じところで間違えたのだった。
Coecles Harborに着くとけっこうな数のカヤックが海に出ている。カヤック屋のおじさんが「予定してなかったお客だな。カヤックするか？」と言ってきた。事前予約がいるようになったのだろうか。
シングル艇x2で東へ向かって漕ぐ。涼しいのでライフジャケットを着ていても暑くないとは画期的だ。追い風なのだが引いていく潮がぶつかっているようで波に翻弄される。水の中にはおびただしい数のクラゲが浮いている。潮に流されて溜まってきているのだろう。
なんとかTaylor's Islandに上陸。砂州の両側で波の高さがだいぶ違う。これから進む左側は静か。潮に揉まれるよりはカヤックを持って砂州を横切ったほうが楽だ。
Taylor's Islandの家は整備されて時折イベントが行われているようだ。今日はカヤックで来てピクニックしている人たちがいるだけ。
今度は快適にすいすいと漕いで奥の湿地へ向かう。水深が浅くなっているので湿地に入るのは無理と判断、再び砂州を歩いて横切り、風を避けて岸に近いコースを西へ向かう。二人とも腰が疲れたので二時間弱で上陸。
帰りの電車までは二時間ほどあるのでGreenport Harbor Brewing Co.のタップルームでゆっくりビールを飲む予定だったが、フェリーがGreenportの桟橋に近づく時に左側に変わった船が見た。
どうも消防船らしい。興奮するlulunを鎮めながらまずはビール。晩ご飯は駅前のダイナーで仕入れるか、と行ってみたらもう閉まっていたのでピザ屋に変更。このあたりで食べ物が調達できる店はここだけだ。
先にlulunを消防船の方へ放ち、しばらくしてから焼けたピザを持って後を追う。一応小さな看板が出ているが車で着たら絶対気がつかない。いや車だったら駐めるところがないか。
看板に1938-2010と書いてあるから戦前から働いていた船のようだ。退役後文化財に指定され、整備されて公開するようになったのだと推察する。
甲板には掃除をしているおじさんが一人。夕方だからそろそろ店じまいなのか。
ずらりと並んだ真鍮の放水銃が美しくも壮観だ。
船には猫もいる。現役の頃から乗り込んでいたのだろうか。
ここが一階の甲板。下には行かなかったけど機械室とかがあるのかな。
二階が操舵室でベッドもある。つまりこれが水上消防署だったのか？ベッドは一人分しかないからここは船長室でもあったのかな。
三階部分には放水銃が並ぶ。近くから見ると精巧な作りが実に美しい。
思わぬ出会いに二人とも興奮気味。帰りの電車は満員で、ピザの箱を持っている人の割合が多いのがおかしい。
来る途中Riverheadの駅に古い鉄道車両が見えて気になっていたのだが、これはRailroad Museum of Long IslandといってGreenport駅にあるカブースなども同じ施設に属するようだ。営業は週末だけだが、ワイナリーめぐりとセットで来るのはありかな。