評価:5/5
仁川までわざわざ足を伸ばしたのは、2006年に来たときに蟹食い lulun が惚れ込んでしまったカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)を再び食べるためだ。仁川の町をフラフラ歩いて12時過ぎに小腹の空いたところで、ソンウォン食堂(성원식당)に到着。
カンジャンケジャン定食以外に、イシモチの定食とテンジャンチゲがあるが、少し悩んでカンジャンケジャン定食を二人分注文する。
麦飯と白いご飯の2種類が出てくる。アジュンマが麦飯はナムルでビビンバにして食べるのよ。白いご飯はケジャンとよく合うからと教えてくれる。実に親切で、大阪のおばちゃん的なところがよい。
ゼンマイのナムル。名前の分からない根菜のナムル(ごぼうのような見た目で、竹の子のような食感のものだ)。
大根の浅漬けキムチ風。じゃこ。煮豆(日本の煮豆と比べて固くて甘味がない)。
青菜のナムル。
もやしのナムル。青菜のナムルがもう一品。
ナムルや豆ななどのおかずが色々出てくるが、ここのナムルはどれも絶品だ。この店以上においしいナムルは食べたことがない。出汁がきき、あっさりとしていて素材のうまみを引き立たせる。まるで京料理のようなナムルだ。
そして、なにより、このワタリガニのカンジャンケジャン。ワタリガニのうまさもあるのだろうが、噛んだときに口に広がるトロッとした旨味は言葉にできない。数々の蟹を各地で&自分で調理して食べてきた lulun の経験の中で、ここのカンジャンケジャンは蟹料理の最高峰のだと確信しながら味わう。
本当は焼酎でも飲みながら食べると、また美味しいのだろうが、午後の予定もあるのでガマン、ガマン。白いご飯と一緒もよくマッチして口の中が幸せになる。特に甲羅のところにご飯を入れて、味噌と食べるのが格別なのだ。極上の卵黄に通じるねっとり感がたまらない。
ところで、ホール担当のアジュンマが我々の食べている様子をときどきチェックにくる。さらに、厨房の方からも「甲羅にご飯入れてミソと食べている?」とチェックの指令が飛ぶ。ご飯も入れているし、ミソもかきだしているのを確認して、「だいじょうぶ。ちゃんとやっている」と報告してた。
テンジャンチゲであるが、テンジャン(味噌)は実に少ししか使っていない。じゃこ出汁を濃くとっているので、じゃこの塩味がしみ出ているような感じだ。唐辛子の辛みも良い感じで絡み合っている。
食べている途中で、アジュンマが鍋を持っていってしまったので、「なんで?」と思っていると別の鍋を持ってきた。「前回は鍋は1種類だったけど、増えたのかな?」と首を傾げていると、「冷めたから新しいのを持ってきたよ」と。温め直すだけでいいのに、新しいのを持ってきてくれるなんて、驚き&親切だね。
食卓に出ているナムルを麦飯に入れて、自分でビビンバを作るのがお決まりである。何故だか理解できないのだが、先にビビンバから食べる方が好ましい、もしくは、ビビンバを食べたり、蟹を食べたりとするのが好ましいらしいのだ。蟹にばかり熱中している我々を見て、何度も「これでビビンバするのよ」と言ってくる。「わかっている」と答えていても信じてもらえなかったみたいだ。麦飯が嫌いなのかと考えたらしく、代わりの白いご飯を持ってきて麦飯を持っていってしまおうとするので、慌てて阻止する。それでも、ビビンバを作らない我々を見て、他の客が作って食べているビビンバを「こうやって食べるのよ」と示してくる。ビビンバは締めに食べたかったのよね。
麦飯ビビンバは、麦飯のモチモチ感がたまらない。ナムルが美味しいので、ナムルとごま油だけでもなかなかイケルけど、コチュジャンを入れた方が一層味わいが深くなる。ただし、コチュジャンを加えたら、ごま油も足さないと香りが分からなくなる。しっかり混ぜ混ぜすると更においしさが増すのがよくわかる。
お腹いっぱいになったが、あまりにもビビンバが美味しいので、lulun は麦飯ビビンバの後で、白いご飯でもビビンバを作って食べてしまった。
ちなみに、ビビンバを作り出したら、アジュンマがすかさずやってきて「ごま油を少し入れると、おいしいのよ」と言ってくれる。
食べ終わった頃にアジュンマがヤクルトを持ってきて「乳酸菌は体にいいよ。健康にね。」と言ってテーブルに置いていく。(ヤクルトは定食には含まれていません。あしからず。)
前回来たときは違うアジュンマだったが、やはり同じように親切にしてくれた。味も良いし、店の人たちも親切だし、ホントにこの店、大好き。ちなみに、ケジャン定食は 19000ウォン。おいしいワタリガニをこの値段で提供してくれるなんて嬉しいね。
帰るときは「韓国に来たら、必ずまたおいでよ」と送り出してくれました。もちろん、必ず行くつもり。