Telluride: La Marmotte

評価:3/5点3 stars

すぐ近くに木造平屋の山小屋風の店がある。Smugglers Brewpubのさらに手前なので徒歩45秒ぐらいの距離だ。前を通った時にちらっと見たらLa Marmotteというフランス語の店名で、そういえばYelpでなかなか好評な店だったと思い出した。だいたいTellurideの店の多くはYelpの地図でとんでもないところに出ているので、まさかこんな近くにあるとは思ってなかった。

Telluride: La MarmotteTelluride: La Marmotte

それじゃ行ってみよう、と3日目に予約を入れようとしたらOpen Tableによると満席。よく考えたら7月14日なのでもしかしたら現地フランス人会の貸し切りかもしれない。ニューヨークに住んでいると反射的にそんな風に考えてしまうが、こんな小さな町にそんなにフランス人いるのかな。

15日は6:30なら席が空いている。やっぱり人気はあるようだ。時差のせいでどうせ早寝早起きなので好都合だ。山を降りてシャワーを浴び、西陽を背中に浴びながら店に向かった。

店内は外観よりかなりお洒落で、シンプルだかそれなりに高級感もある。ホールから一段高いところに厨房があるようだが、おそらくこれは一部で本当の作業場は上か下にあるに違いない。

Telluride: La MarmotteのLa Marmotteの店内La Marmotteの店内

窓際の席についてメニューを吟味。ここは3コースのプリフィックスのみなので、量が少なそうなものから選ばざるをえない。ホールの店員の数は少なめだが感じは良い。

まずはパンとオリーブオイルが運ばれてくる。パンはほかほかでオリーブオイルも良質で香りが高い。これは良いぞ、と期待が高まる。疲れているし高山なのでアルコールは控えめにし、リースリングを一杯だけ。

Telluride: La Marmotteのパンとオリーブオイルパンとオリーブオイル

前菜は軽そうなものを選んだ。

Telluride: La Marmotteのマグロとビーツのタルタル、アボガドと揚げワンタン添えマグロとビーツのタルタル、アボガドと揚げワンタン添え

マグロとビーツ、アボガドのタルタルとはなかなかうまそうだ、と選んだがこれは正解。予想以上だったのがパリパリに揚げてあるワンタンチップで、ねっとりしたタルタルによく合う。ビーツは個性が強すぎないかとちょっと危惧したのだが、控えめにバランス良く混ぜ込んである。

Telluride: La MarmotteのAnasaz beansとポルチーニのスープAnasazi beansとポルチーニのスープ

Anasaziとはどんな豆かと思ったら赤と白のまだらの豆のようだ。こうすると色がわからないのが残念だが、味はすこぶる良い。キノコの香りとクリーム、豆のハーモニーがすばらしい。うまい。

ここまでですっかり感銘を受けたlulunとkame。メインコースへの期待が高まる。

Telluride: La MarmotteのNY stripきのこソースNY stripきのこソース

メインコースは実はすごく気になる選択肢はなかった。こんな山に来てシーフードはちょっと、と思うし、鶏肉は推して知るべしだし、結局選んだのはステーキと鴨。

ステーキはTボーンのフィレミニオンじゃない方のNYストリップというところがなかなか嬉しい。適度に脂が乗って良いのだが、ちょっとかしこまりすぎでDeStefano'sのような豪快さがない。フレンチだし専門店じゃないからやむを得ないか。その肉にキノコをどっさり合わせてあって、味は想定の範囲内だがけっこううまい。お伴のミニジャガイモもけっこういい。前菜と比較するとキラリと光るものがないのが残念。

Telluride: La MarmotteのLong Island Duck山芋とサクランボソースLong Island Duck山芋とサクランボソース

鴨はあろうことかLong Island Duckというのには苦笑。神戸からどこかに旅行に行ったら神戸牛が出てきたようなものか。でもLong Island Duckは確かにうまいのでまあいいか、と選んだわけだ。メニューにはJapanese turnipと書いてあったので大根かと思ったが、山芋とサクランボのソースを合わせてある。ここで山芋というのは目新しいかもしれないがあまり効いているという気はしない。サクランボのソースはなかなか良い。というか鴨に甘酸っぱいフルーツが合うのは周知の事実。普通にうまいがこれも驚きはない。

ここまでで満腹なのでデザートも軽そうなものを選ばざるをえない。ただ問題はメニューにはやたら重そうなあものが多いのだ。日替わりでシャーベットがあるので内容を聞いたらパッションフルーツ、レモン、ブルーベリーだという。それならと注文。ダメそうならチョコレートケーキ、とlulunが決めていたので、軽い方で済んでちょっとほっとしたが、心なしかlulunが残念そう。

Telluride: La Marmotteのシャーベット3種(パッションフルーツ、ブルーベリー、ラズベリー)シャーベット3種(パッションフルーツ、ブルーベリー、ラズベリー)

そのシャーベットだが、まずレモンではなくてラズベリーが出てきた。嘘つきめ。しかもそのラズベリーが、なんか変な味がする。うーむ、これはなんだ、と思って食べていてふと気がついた。「海苔!」と言うとlulunは半信半疑だが、味を見て「わかる!」。これじゃまるで兵六餅だな、と思ったが兵六餅に失礼か。ブルーベリーとパッションフルーツもなんかこう、もっとおいしくできるはずなのにどうしてこうなのだろうと思ってしまうような味。lulunは素材、特に砂糖が悪いのではないかという。kameにはよくわからないが家でlulunが作るシャーベットの方がよっぽど旨いのは確かだ。

Telluride: La MarmotteのCrème BrûléeCrème Brûlée

それにクレーム・ブリュレ。これもいけない。lulunが卵と牛乳ではなくてカスタードの素を使っているのではないかと推測するような味。lulunが作るやつの方が絶対にいい、というかこんなクレーム・ブリュレは食べたことがない。これほどの水準の店でちゃんとした素材を使えばうまいものができるだろうに、どうしてこうなるかな。理解に苦しむ。

そんなわけで前菜で盛り上がった期待がデザートで音を立てて崩れ落ちた。釈然としないままに金を払って店を出た。決して安くはない店なのでこう期待を裏切られると悲しい。デザートを抜きにできるならまた行ってもいいけど、とにかく残念。前菜はあんなにおいしかったのに。

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