lulun は時計を見て 8時半過ぎに起きたつもりが、枕元専用時計の針を1時間遅らせておくことを忘れていた。まだ7時半。今日は失敗からスタート。寝ている間少し冷えたねと話していると、昨夜エアコンの設定をいじったkameが「どうも暖房が入らないみたいだ」と発言。実はスイッチの動かし方が不完全だったうえにツマミを反対に動かしていた。昨夜は kameの失敗で終わっていたことが判明。
Prince Conti Hotel の朝食
朝食を食べるカフェ
今回の宿はコンチネンタルの簡単な朝食付き(有料でメニューにあるものも注文できる)。朝ご飯を食べないと動けない keme は大助かり。朝食はジュース、コーヒーか紅茶、クロワッサンかビスケットという名のスコーン(最終的には、オレンジジュース、コーヒー、クロワッサンの組み合わせが一番良いという意見で一致)。昨夜チェックインしたときロビーではフリージャズが流れていたし、朝食時もジャズ。ジャズが嫌いな人は辛い街かも。
Prince Conti Hotel の朝食
Prince Conti Hotelの朝食
部屋には窓がないので、外に出て初めて青空が広がっているのに気づく。お天気だ。ありがたい。
ここはフランス、スペイン、フランスと権利主が移り変わってアメリカに売られた土地。スペイン時代の通りの名前を伝えるスペイン南部的なタイルを壁に張ってある。当時と変わらない名前の通りも多いのがちょっと不思議。
かつては馬止め?今は歩道との境French Quarter, New Orleans
ニューオーリンズは鉄細工製品が多い街。馬の部分が取れてしまっているところも多いが、このポールが至る所に。鼻の部分に輪っかが付いているのもあるが、かつては馬止めだったのだろうか?現在はペット止めにも使えそうだ。
American Townhouse飾り用鉄細工Decorated Ironwork Balconie and GalleryFrench Quarter, New Orleans
飾り用鉄細工の付いたAmerican Townhouse
そして、ニューオーリンズの街で楽しみにしていたものの一つが、飾り鉄細工のフェンスや手すり。みごと。街中をふらふらして建物を見て歩くだけで楽しい。スペイン的なもの、フランス的なもの、アメリカ的なものが混ざり合っている。街を歩きながら、アンダルシア方面に旅をした時の景色がときどき頭をかすめる。。アンダルシアに行った時は、それまで知っているどの街とも異なって目が驚いて1日シャッターを切ることができなかった。どうやら免疫ができたようで、今日は自然にシャッターを切ることができる。
ガス灯French Quarter, New Orleans
ガス灯が健在なのには驚いた。電灯のところもあるけれど、相当な数のガス灯が昼夜問わず灯っている。何故なんだろう?気になる。
路面電車 Streetcar (Riverfront line)French Quarter, New Orleans
路面電車
ミシシッピー川の方に向かって歩いていると、路面電車が現れる。路面電車好きの lulunは小走りして近づく。19世紀前半から市民の足として親しまれた路面電車。バスに取って代わられた線が多いし、カトリーナの時は被害を受けたが現在も少しずつ復旧しているらしい。
ミシシッピー川 Mississippi RiverFrench Quarter, New Orleans
Mississippi River
目の前に姿を現したミシシッピー川。ミシシッピー川は世界三大(だか四大)河川に数えられる「大河」と習った。なのに、目の前に広がるのは日本の一級河川程度だし、水はよどみきっているし、拍子抜け。河口付近は特に広いイメージがあるけれど、デルタというのは川の姿も変えてしまうのだろうか?
ところで、ニューオーリンズは曲がりくねった川の流れから The Crescent Cityと呼ばれる。我々が乗ってきた NY - New Orleans 間を走る電車は Crescent号。その Crescent号の中で The Big Apple と The Big Easy を結ぶ電車だという表現を見つけた lulun は、The Crescent City という呼び名よりも The Big Easy の方が気に入っている。
Jackson Square & St Louis Cathedral French Quarter, New Orleans
Jackson Square & St Louis Cathedral
土手から街の方を眺めると St Louis Cathedral が目につく。旧市街であるフレンチクオータはこの大聖堂以外高い建物がない。川辺ではサックスを吹くおじさんが。朝から演奏している!
Jackson Square前に待機する観光ロバ車
Jackson Square前に待機する観光ロバ車
ジャクソン・スクエアの前にはロバが引く観光馬車が待機。まずは、街を知るためにネットにあった French Quarter Walking Tour を読みながらのセルフツアー。逆順に歩いたので少々分かりにくかったが、見所と歴史をだいたい押さえることができた。ドガの曾祖父が建てた家など18世紀のものも一部残っている。
Royal Street を中心にアンティーク屋が多いのは何故?マルディ・グラと呼ばれるカーニバルでも有名な街で、カーニバル用品が並んでいる店が多い。
Cocktails To Goの看板French Quarter, New Orleans
Cocktails To Goの看板
ニューオリンズは、アルコールに寛大な土地柄だと聞いた。ガイドブックによると、プラスチックの to-go cup に入れてもらったビールを道ばたで飲んでよいそうだ。これはビールの自販機がそこら中にあり、野外で宴会をする日本の感覚からは遠くかけ離れているけれど、アメリカにおいてはものすごく画期的なこと。「Cocktails To Go」の看板を目にして、「おーっ」という気分に。
市場好きの kame と lulun はワクワクしながらフレンチマーケットに向かう。手前は観光客用のカフェやレストラン、お土産物屋の店舗が並んでいる。タバスコの瓶がずらり。置いてあった資料によると、Tabascoはルイジアナのエイブリー島(Avery Island)が発祥の地であり、現在でも彼の地の工場で作られている登録商標もの製品だとか。ニューオーリンズから200km以上離れていて、車で3時間近くかかる場所だ。とても工場見学には行けない。製造元である McIlhenny のサイトに歴史や短くまとめた製造工程のスライドショーがあるので、そちらを眺めて済ませる。
French Quarter, New OrleansFrench MarketFrench Quarter, New Orleans
ニューオーリンズのお菓子は、ベニエ以外に、プラリネとチョコレートキャンディーが有名らしい。プラリネはニューオーリンズ・プラリネと呼ばれるタイプで、フランス菓子的な繊細さは完全に失われ、ずっしりとしたアメリカ菓子に変わり果てていた。重そう&大味そうなので食べる機会なし。一方ベニエはフランスと同じものが受け継がれているらしい。
French MarketFrench Quarter, New Orleans
French Quarter, New OrleansFrench MarketFrench Quarter, New Orleans
市場のエリアが見えてくる。野菜が見え、ピーカンナッツを売っている。しかし、それだけ。あとはすべて観光客相手の雑雑とした売り場が並んでいる。フランスなどで目にするようなニンニクを編んだものがずらと下がっている写真をガイドブックで見ていたのに、あまりにも違いすぎる。
カトリーナ以降、人口が減ったというから、野菜を作る人も買う人も減ってしまって、フレンチクオーターにある市場は近隣の生活者の買い物の場所ではなくなってしまったということなのだろうか?ものすごくがっかり。もっと普通に人の住んでいるエリアの市場もチェックすべきだった。
よくみかけた自転車French Quarter, New Orleans
よくみかけた自転車
ニューオーリンズではブレーキが見当たらない自転車をよく見かけた。どこかにブレーキが隠されているのか、それともフットプレーキなのか。
昼食を Dooky Chase's で食べようと French Quarter の北側にある Tremé地区に向かう。少々治安が悪そうなエリアだそうだが、昼間に二人行けば大丈夫だろうと kameが説明。観光客の行かないエリアも見たいし、歩いて北上。
Tremé地区 閉鎖されたままの劇場
Tremé地区の劇場
Louis Armstrong 公園の中を突っ切ろうと考えていたら入り口が閉まっていて入れない。公園内にある劇場も閉ざされたままのようだし、不穏な空気が漂っている。後から調べたところ、閉鎖されていると思っていた劇場、Mahalia Jackson Theatre ではイベントが開催されている。公園は昼間は警備が入っているけれど十分に注意する必要ありで、日が暮れたら近づかないようにとの記載もあるが、予算削減で警備を中止してイベントのない時は入場禁止にしているのかもしれない。
公園を過ぎると建物自体が安っぽいものに変わっていき、カトリーナ以降打ち捨てられた家屋が目立つ。
道路もぼこぼこでどう見ても低所得者層の住むエリアだ。修復中の家もぼちぼちあるものの、住み手を失ってしまった家のが多い。ニューオーリンズの人口が減ったというのが実感として伝わる。
Dooky Chase's の近くに建て売り住宅を作っているエリアがあった。そこは、カトリーナの前は低所得者用のアパートが建ち並ぶエリアだったようだ。
ニューオーリンズ、Royal Street のミュージシャン
ニューオーリンズ、Royal Street の芸人
French Quarter に戻る。午後になって、ストリート・ミュージシャンや芸人の数が増えている。道行く人が立ち止まって楽しんでいる。NYにもこういったミュージシャンは五万といるが、こちらでは時間に追われていないせいなのか、やんわりとしたものが漂っているようでずいぶん雰囲気が違う。
鳴りモノにはかなわないようで、ミュージシャンのまわりには人が集まるが、それ以外の芸をしている人たちは見向きもされない。なかなか厳しい現実だ。
ミシシッピー川を渡るフェリー乗り場
フェリー乗り場
Café du Monde のコーヒーとベニエ休憩を入れて街歩きを続け、夕方になったところで対岸から夕日を見るためにフェリーに乗りに行く。フェリーは無料で観光客もぼちぼち乗っているが、NYのスタッテンアイランド行きのフェリーのようには賑わっていない。上の階は窓があるので、下の車が乗り入れるところに降りた方が景色を楽しむにはよい。
対岸のAlgiers
Algiers
French Quarter と川を隔てた地に Algiers という名前をつけるとは、判りやすい。
離れてみると Canal Street 以西には高い建物があるが、French Quarter は昔のままに保存されているのがよく分かる。
夕方のブルボン通りBourbon Street, French Quarter, New Orleans
夕方のBourbon St.
夕日を眺めながら戻ってくると、街は夜の装い。
Acme Oyster House カウンターの向こうの生牡蠣
一旦ホテルに戻って休憩してから夕食に出ると、通りから大音量の音楽とざわめきが聞こえてくる。ちょうど Bourbon Street をブラスが通過しているところだった。早足で近づいてみたが、遠ざかる後ろ姿を目にできただけ。lulunはブラスバンド好きという訳ではない。でも、ニューオリンズの予習をしていて、住宅地をうねり歩くニューオリンズ・ブラスバンドとそれに続くセカンドラインを見ることができたら彼らのなにか一部でも感じることができるのではと期待していた。観光客用と分かっていても見れただけでなんだか嬉しい。
St. Louis Cathedral裏手に浮かび上がるキリストFrench Quarter, New Orleans
牡蠣を味わって Acme Oyster House の外に出ると通りは更に賑わいが増している。夜も早いし元気も残っているので、地元の人が聞きに行くクラブが並んでいるという Frenchmen St まで足を伸ばしたが、夜8時前でまだ準備中のところが多い。盛り上がりを待たずに繁華な方に戻る。カテドラルの裏手にあるキリストの像にライトをあてて教会の壁に大きく浮かび上がらせている。
Bourbon St に戻ってくると、店の中、通り、バルコニーと酒を片手にみんな楽しんでいる。音楽が通りに流れてきて、通りを歩くだけで楽しい。腰を据えて聞きたいと思うほどのバンドはいないが、冷やかし半分ふらふらするだけでウキウキするような。
カクテル屋Bourbon Street, French Quarter, New Orleans
カクテル「ハリケーン」
一見スムージー屋、正体はカクテル屋という店が何軒も目につく。それではと、ハリケーンを飲んでみた。酒は濃いけど、人工的な味わいが口に広がって寂しい気分に。量は1/4に減らしてくれてよいから、まともなモノが飲みたい。
長い一日だった。今日の歩数:30,812歩