評価:1/5点
Gary Rhodesは90年台後半、ジュネーブにいた頃によくBBCの料理番組に見ていたシェフだ。"Absolutely sensational!"と大袈裟な表現が売りで真似したりしたものだが、そのGary Rhodesの店がグレナダにある。しかもCalabashというリゾート内で宿から歩いて5分ほどの近さ。
2〜3週間前にメールで予約し、ドレスコードが"elegant casual"なのでドレスアップして出かけた。とはいっても襟のあるシャツ、長ズボン、革靴という程度。それでも必要がなければ絶対しない格好だ。
ディナーは7時からなので暗くなってから宿を出る。すぐわかるだろう、と思ったらリゾートの入口が見当たらず暗闇の中を少しうろうろ。レストランにたどり着いた頃にはもうけっこうテーブルが埋まっている。早めに予約して正解だったようだ。ちなみに客はほとんど白人の年寄り。わざわざリゾート外から来ている客は我々と若いインド系らしきカップルぐらいか。
レストランとはいえ完全に屋外で、藤のような植物の棚の下にテーブルが並んでいる。とてもゴージャスで風が吹くと気持ちいい。
この際だから思い残すことのないように前菜、メイン、デザートまでしっかり行くことにした。白ワインを一本頼み、レモン風味のパンをむしゃむしゃしながら待つ。甘くないけどレモン味というのは不思議だがけっこういける。もう一方はタマネギ風味なのでパス。
まずはセビーチェ。
Mahi Ceviche: coriander, chilli, chives, coconut milk
ココナツミルクを使ったセビーチェといえば今は亡き9645がベンチマークの我が家。果たしてギャリーはどう来るか、と思ったら散々な出来だった。アストリアのペルー料理屋の方が魚の質も味も良い。これはとてもがっかり。
Local crab, potato salad, crispy poached egg, red pepper dressing
カニはどんな料理かと思いきやポテトサラダの上にペースト状になっているのがそうだったようだ。その上に揚げたポーチドエッグが載っていて、ううむ、ふつうに美味しいがこういう料理にする意味はよくわからん。
Pan seared dorado: pak choi, carrot ribbons, shrimp & ginger beurre blanc
メニューにdoradoとあったのでdorade?鯛?と思って注文したらシイラでがっかり。シイラは大味でわざわざ食べたい魚ではないが、mahi-mahiとかdolphinとか色々な名前で呼ばれるので要注意だ。これもわざわざ食べるほどではない。
唯一けっこう良かったのがロブスターのグリル。そりゃまあイセエビだから美味くて当然だが、いい素材をシンプルに調理した皿がベストだという法則がここでも証明された。でもそれだったら浜辺のグリル屋で食べたほうがいいんじゃ。
ここまでで二度目はないな、とわかっていたのでデザートも味わうことにした。シェリートライフルだというものは単なるプリンのようだ。ベースに洋梨?入りスポンジがあってそいつがシェリー風味なのかな。
ナツメグアイスとナツメグリキュールらしきDe La Grenadeのカクテルはナツメグの香りが爽やかでなかなかよろしい。鮮度のいいナツメグはこんな香りだったのか。これは自宅で再現してみる価値はある。
総じてがっかりなRhodes at Calabashだった。とても美味しかったら"absolutely sensational!"と言ってやろうと構えていたのに、その機会がなく残念。後日宿のおばちゃんと話をしたら宿泊客の評価は概ね低いと言っていたがそりゃそうだろうと思う。せっかく大枚はたいて正装までしてこれでは浮かばれない。レストランがこの水準だとCalabashに泊まっている客はどうしているのだろうか。