Jonathan Coultonの存在を知ったのは確かスザンヌ・ヴェガがArtificial HeartのNow I am an Arsonistを歌ったという話だったからだと思う。その後Artificial Heart、Best. Concert. Ever. と聴いて印象的なメロディーとユーモラスな歌詞に魅せられたのだった。
ブルックリンに住んでいるというJonathan Coultonなのだが、なぜかあまりライブをやらないようでなかなか観に行く機会がなかった。ライブがあってもそのへんの倉庫みたいなところで立ち見だと楽しめないので見送っていたということもある。
ところがJonathan CoultonがTown Hallに出るという。え？と思ったらAimee Mannという人の前座らしい。ほう、じゃあAimee Mannを聴いてみるか、と聴いたけどどうもピンとこない。ううむ、なぜこんな人とツアーしてるのだろう。安い席を買って前座だけ観に行くことにした。
Jonathan Coultonはどうやら理系の人で、以前はプログラマをやったりしていたのはMandelbrot SetやCode Monkeyから窺える。どちらかというと饒舌でユーモラスなのがスタイルだが、ホロリとさせる曲もあって実に良い。写真を見るとちょっとオタクなkameの甥のY太に似ているのも親しみが持てる。
Town Hallに着くとまだ客が入り始めているタイミングだった。天井桟敷を目指して階段を上がるが、案内してくれる係員はどんどん前の方に降りていく。結局前回Rickie Lee Jones & Madeleine Peyrouxの時、二階席最前列のボックス席から4列ほど後ろなだけだ。値段の割にはけっこういい。
ステージは既にAimee Mannのバンドの機材がセッティングされている。ローディーがベースとギターを置いたので果たしてあのギターはJonathan Coultonのか、などと推測しながら待つ。
8時を過ぎて間もなく会場が暗くなり、何の前触れもなく一人の男が登場。ん？司会か？と思っていたら「始めるよ、アーティスト、つまり俺、に拍手」などと言ってギターを手に取るので、ああ、これがJonathan Coultonか、とわかった。
オタクな割にはよく喋るしちょっとひねったユーモアも歌と同じ感じ。「悪いけどみんなとAimee Mannの間にいるのは俺だけだ。しばらく我慢しろ」もう少し卑屈な感じかと思ったけど堂々として軽口も叩くところがややイメージと違う。
「一曲目は元気な曲で、と言われてるから」とまずはShop Vac。続いてはArtificial HeartのGlassesでこれは「中年になること、結婚してること」の歌だという。なるほどね。この二曲いずれもなんというか覚めた愛が感じられるのが魅力。
4月28日に新アルバムが出るというので、ここからはYour Tattoo、Braveと新しい曲が続く。Braveはネットのトロールの歌というのはJonathan Coultonらしい。
次のI Crush Everythingの後はなんとAimee Mannが登場。それでベースが置いてあったのか。そのAimee Mann曰く、初めて生でI Crush Everythingを聴いた時は涙が止まらなくて大変だった、というのでどちらかというとAimee Mannの方からツアー参加を呼びかけたのではないか。Jonathan CoultonがAimee Mannの音楽をどう思っているか本当のところどうなのだろう。
All This Time、そして「こういう時代だから癒やされたい時もある」Pictures of Cats。どちらもいい曲だしAimee Mannのボーカルもなかなか合ってる。
最後にゾンビの歌、Re: Your Brainsで観客を歌わせておわり。ちょうど9時15分だったので40分ほどのステージだった。もう少しやってほしかったけど前座だから仕方ない。会場を出ると前座だけ観て帰るらしいへそ曲がりな客が二組ほど見えた。
Skullcrusher MountainとCode Monkeyをやってくれなかったのは残念。機会があったらちゃんとしたステージを観たいのだが、さすがに7泊8日のクルーズはないのでNY周辺のショーを待つとするか。