Richard Thompson All Requests Show at City Winery(2016-11)

まだElvis Costelloの余韻が残る水曜日、いつも通りソファに寝そべってiPadで読み物をしていたらBandsintownアプリからの通知が画面に浮かんだ。リチャード・トンプソンのリクエストショーがあるというではないか。

水, 2016-11-16 20:01 - Richard Thompson all requests show at City WineryRichard Thompson all requests show at City Winery

慌てて詳細を確認すると11月16日と18日の二日間、場所は前回と同じCity Winery。一週間前になって突然告知してくるとはどういう事情があったのだろう。急いでチケットを探すと水曜日ならステージに近い席が取れる。

Bo Ca Pheで腹ごしらえをし、Porto Ricoでコーヒーを買っていたらもう7時半。早足でCity Wineryへと向かう。

場内はほぼ満席。今回の席はステージ左側、最前列だがテーブルの反対側の人たちがlulunのエリアにはみ出してきている。詰め込みすぎているのでステージが見える状態で座るととても人が入りきれないのだ。もう少しなんとかならんか。

水, 2016-11-16 20:01 - Richard Thompson all requests show at City Winery席からの眺め(おばちゃんの帽子が邪魔)

リクエストを短冊に書き、ワインを注文しているとすぐに8時になった。今回はlulunも自分でリクエストを書いたのでkameは一曲だけ、Yankee Go Homeを選んだ。我ながら意地悪だ。Fergus Laingという案もあったが。

間もなくリチャードおじさん登場。最初に引いた4枚のうち2枚は自分の曲だったので「まあまあだな」と余裕を見せる。アシスタントが歌詞を探している間にShe Twists the Knife AgainとPersuasionを演奏、次はストーンズのGimme Shelter、続いてBad to the Boneなんだけどいずれも完全にリチャード・トンプソン節になってるのがすごい。ぶっつけとは思えない完成度なのがさすがだ。

「あー大変だった、R&Bの曲ばかりリクエストしないでくれよ。フォークはどうだ?」と言うのだが次に引いたのはMasquerade。「ん?知らないぞ」と言うと観客がレオン・ラッセルの曲だという。悪いけど知らない、でもMasqueradeという曲作って歌う、とジャズっぽいコード進行にそれっぽい歌詞をのせて歌う。

次々とリクエストを引くのだが2/3ほどは他人の曲。VincentやBeeswing、Cooksferry Queenといった定番はヒットしたのだが、もう少しリチャードおじさんの曲をやってもらいたいところだ。でもこんなショーに来ている客は何度もリチャードおじさんを観ているのでこれは一つのゲームとして楽しんでいるのだろう。イントロをちょろっと聞いてすぐ拍手するぐらい通な観客だ。

リクエストの短冊を入れた器がいっぱいなのでリチャードおじさんが「ずいぶんあるな。リクエストを入れなかった人いる?」と訊くと一人だけ手を挙げる。「その心意気だ。もしかして先週も棄権した?」と言うと会場からはToo soonと力のない抗議の声。傷がいえるまでしばらくかかりそう。

終盤にはStreets of LondonやYou'll Never Walk Aloneといったブリティッシュ・フォークのスタンダードも出て、時間がなくなったところで最後に「Henry the Human Flyという史上最も売れなかったアルバム」の曲を、というから、お、The Angels Took My Racehorse Awayか?と一瞬期待したがShaky Nancy。なんとも渋いリクエスト。

ここで一旦退場だが「あれで終わりにするわけにはいかんだろ」と引き続き短冊を引く。アンコールは3曲、最後にI Want to See the Bright Lights Tonightだったのでいよいよ終わりか、と思ったけどもう一度出てきてもう3曲。客席からの「やりたい曲やっていいのよ」という声にもかかわらず律儀に短冊を引く。

今度はGenesis Hall、Shoot Out the Lights、Razor Danceとアンコールにふさわしい。「じゃ、また金曜日に」と本人も観客も満足そう。

ショーの頭に「不思議だけど金曜日も同じ曲目になるよ」と言っていたのは本当で、セットリストを見るとBad to the Bone、You'll Never Walk Aloneが被っているではないか。組織票が入っているとしか思えない。それともやたらくじ運ががいい人なのか。

あまり疲れも見えず元気そうなリチャードおじさんだった。また来年。

Richard Thompson Setlist City Winery, New York, NY, USA 2016