ユカタン遺跡巡りの前半はカンクンとメリダのほぼ中間にあるバジャドリという地方都市を選んだ。理由はチチェンイツァに近く、コバとトゥルムも日帰り圏内ということ。適度に田舎町の雰囲気を味わえるのも良い。
旧Convento San Bernardino de Siena
バスでバジャドリに着いたのは午後2時過ぎ。バジャドリの通りは碁盤の目になっているが、うまい具合にバスターミナルからホテルまでほぼ真っすぐ斜めの道、Avenida de Los Frailesがある。少し距離があるけど歩くことにしたらちょうど影がなくてジリジリと暑い。ユカタンの日差しを甘く見てはいけないと早速反省させられてた。
宿のCasa Quetzalは旧修道院San Bernardino de Sienaのすぐ隣。元々は修道院の付帯施設だった建物らしい。中庭を囲む回廊に部屋が作られている。中庭の雰囲気はいいけど部屋は古めで冷蔵庫もない。ハンモックがあるのはよろしい。設備はもう少しアップデートしてもらいたいところだ。朝食も貧弱。
中庭には自称プールがあるが全然掃除してないのでゴミだらけ。とてもこの水に入る気はしない。さらに洗濯設備があるはずなのに訊くと無いと言う。洗濯設備があるからこの宿を選んだのに、とプンプン怒りつつ最寄りの洗濯屋に行ったら喜んでくれるし4kgで50ペソと安いし畳んでくれるしこれはなかなかいいではないか。洗剤の匂いがきついのは我慢しよう。
昼間は暑くなるけど本当に暑いのは4時間ぐらいで、午後4時には影もできてけっこう涼しくなる。街の中心広場、Zocaloに行ってみるとけっこう人が集まっていて観光バスもいっぱい。なるほどチチェンイツァ帰りのツアーがここに寄るのか。
屋台も出ている。柔らかいゴーフルのようなMarquesitaや詰め物をしたチュロスなどが気になる。Las Campanasで遅い昼食を食べたばかりなので今回はパス。
広場の北側には市場。夕方なので閑散としているが午前中は賑わうのだろうか。東側には市庁舎、南側には教会と典型的な広場のレイアウト。
夕方の街を少し散歩。近くに古い教会を改装したMuseo de San Roqueがあったのでちょっと覗く。この建物は壁がピンクできれいだがバジャドリの街全体がパステルな色合いだ。
最初の夜はバーで軽く。風が心地良い。地元のビールとタマリンドのマルゲリータ。
翌日は朝からエクバラムへ。Colectivo乗り場へ向かう途中の交差点に屋台が出ている。これはcochinita pibilに違いない、と思ったらその通りだった。朝に食べるもののようだ。
エクバラムからの帰り、なぜかzocalo付近が渋滞で全然動かないので少し手前でcolectivo降ろされた。Cenote Zaciが近くなので歩いていく。
料金所で入場料を払うと切符は手首に。すぐ背後に地下へ降りる階段があるのでそこを下っていくと巨大な穴があって水が溜まっている。なるほどこれがセノーテか。
平日なのにけっこう人が来ている。そのへんに適当に荷物をおいて水へ入る。実はすごく深いらしく、浅いところがないのでロープが渡してあってそこにつかまってみんなプカプカ浮いてる。身体が冷えてとても気持ちいい。こりゃいいもんだ。
セノーテ周辺の荒れ地にはイグアナがいっぱい。lulunが写真を撮ろうとしていたら近くにいたおじさんが親切にしてくれる。
昼食後は宿でシエスタ。夕方、涼しくて気持ちいいので修道院前の広場でのんびりしていたら歌声とともに十字架の行進が現れた。普通の女性ばかり10人ぐらい。
見ているとお供えを用意してる家の前で止まって歌を歌い、次の家へと進む。バリのお盆みたいだ。
今夜はどうしようか、とベンチで作戦会議していたら徐々に人が増え、突然目の前の門が弾けて広場が子供で溢れた。気がつかなかったけどが学校だったようだ。男の子はベーゴマ遊びをしているし女の子は集まってお喋りしている。みんなかわいい。人が増えていたのは家族が迎えに来ていたからだった。子どもたちは遊び足りないようだけど少しずつみんな家に帰っていく。
少し遠い店に夕食を食べに普通の住宅街を歩く。昼間は閉ざしている普通の家の中が見えて面白い。ハンモックを吊ってくつろいでいる人が多いのが新鮮だ。
狙ってた店はローカルなのはいいけどメニューが乏しくてビールもなし。外の席がないので暑い。方針を変えてタマレス屋へ。わざわざ行くほどでもない。
帰りに修道院前を通ったら建物をスクリーンに使ったショーをやってる。どうやらバジャドリの歴史物語のようだ。
建物を上手に使っている。そういえば週に一度光のショーがある、という話を見かけたけど「ふうん」という程度だった。曜日が合えば見に行く価値はある。
昼寝後、近くにあるはずのチョコレート屋へ。何度も通っている斜めの通りにあるはずなのに気づかなかったのは変だと思ったけど、行ってみたら改装中だった。残念。
修道院脇を通ったらいつもは閉鎖されてる中庭にローソクのお供えが。十字架のキリストの腰布にはユカタンの刺繍がしてある。日頃は閉まっている部屋が開いていてそこにもお供え。
回廊ではおばちゃんたちがエンパナーダ、panuchosを揚げている。ちゃんと中に豆ペーストを塗ってる。やっぱり本来はこうするべきなのだ。
ものすごく気になるけど夕食前なので断念。食後に戻ってきたら今度はなにやら広場の一角に人が集まっている。
周りを見ると一定間隔で十字架が立ててある。多分集まっている人たちはこの十字架を巡回してお祈りするのだろう。八十八ヶ所と同じような簡易版の巡礼なのだろうか。
メリダに移動する日、午前中はレンタサイクルで町の外まで行ってみることにした。何度も前を通っている宿の前に2台だけ出ていたので中で掃除してるおばちゃんを捕まえて手続き。鎖と南京錠を持たされて出発。初めてのフットブレーキに少し戸惑う。
まずは町外れにある駅へ。鉄道は貨物専用らしくここは既に廃墟となって久しい感じだ。
続いて西の方にあるセノーテを目指す。途中から自転車道があって走りやすいけど、道路と違ってけっこうアップダウンがある。今の季節は黄色い花がたくさん咲いていてきれい。
セノーテに着いたら汗だくだ。ここには二つセノーテがあるけど切符売り場は一つ。二ヶ所のチケットを買い、まずはすぐそこにあるCenote Semulaへ。すぐ前を年配の観光客が降りていくが、彼らは泳がないので二人でセノーテを独占。
このセノーテは天井に小さな穴が空いていてそこから光が差し込む。水が青く透き通ってとてもきれい。黒いナマズといっしょに泳ぐというのも一興だ。
しばらく体を冷やして次のCenote Xkenへ。ここも一歩先にさっきの観光客が来ているほか、すぐ後から団体客が入ってきたけど水に入っていた間はほぼ独占状態。
鍾乳石と木の根でドラマチックだけど暗すぎる。もう少し天井の穴が大きければいいんだけど、でもそうするとゴミが落ちてきて水の透明度は落ちそう。こちらの方が人気スポットらしいが個人的にはSamulaの方が好きだ。
こちらもナマズがいっぱい。
来た道を戻って自転車を返し、ホテルへ。お日柄がいいのか修道院では結婚式をやってる。どうみても参列者という人たちが外でぶらぶらしてるのでどうしたのかと思ったらもう一組式を挙げるカップルが待ってる。やっぱりお日柄がいいのか。
チェックアウトしてタクシーでバスターミナルへ。12:35発の便を取り、近くのcochinita pibil屋でタコスを買い(2個買ったらなんと2個おまけしてくれた)、ターミナル前のタマレスおばちゃんからタマレスを買い、角を回った果物屋でマンゴーをゲット。Pibilはおいしいし、タマレスは葉っぱの香りがふわりとしてマンゴーは熟れてるけど酸味があってさっぱり。
待合室でバスを待っていると次々とバスが発着する。その度にlulunが切符を持って「これメリダ?」と聞きに行ったのだが毎回待てと言われたので待っていた。ようやくメリダ行きが来たので乗ろうとすると切符を見た係員がこれはちがう、もう出た、というではないか。それはお前らが待てと言ったからだ、と講義したら切符売り場で変えてもらえという。切符売り場では乗り遅れの場合は半額で遅い便に乗れるという。いやそれはあいつらが待ってろと言ったからだ、とその係員を呼びに行ったら別な男(責任者らしい)が観光案内所に手招きする。通訳を介して同じ議論をし、埒が明かないので最後にその男の名前を控えて仕方ないので切符売り場に戻った。並んで待っていると男が来い、これに乗れ、とさっきのメリダ行きを指すので荷物を積んで乗り込む。指定された席に向かおうとしたら運転手がいいからそこに座れ、と空いている二人席を指す。
結局予定より一時間遅れで出発。さっき行ったカンペチェ行きがメリダ経由だったらしい。二人ともぶりぶり怒ったけどほかに方法はないし(いや、colectivoがあるにはある)無駄金も払わないですんだからまあいいか。この旅はここまでスムーズすぎて気味が悪いぐらいだったから、これで悪運を使ったと信じるとしよう。